質問主意書

第132回国会(常会)

答弁書


答弁書第二九号

内閣参質一三二第二九号

  平成七年七月十八日

内閣総理大臣 村山 富市   


       参議院議長 原 文兵衛 殿


参議院議員上田耕一郎君提出小田急小田原線(世田谷代田駅~喜多見駅間)連続立体交差事業及び複々線化事業に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員上田耕一郎君提出小田急小田原線(世田谷代田駅~喜多見駅間)連続立体交差事業及び複々線化事業に関する質問に対する答弁書

一の1及び2について

 御指摘の調査の結果について、国は、事後に報告を受けているが、調査報告書については現在も受領していない。

一の3について

 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号)第十四条の規定に基づき、補助事業等実績報告書及び各省各庁の長の定める書類は、補助事業者等から、各省各庁の長に提出されることとされている。

一の4について

 御指摘の調査に係る実績報告書は、「都市局所管補助事業等の実績報告書の取扱いについて」(昭和四十五年六月二十三日付け建設省都総発第百七十一号建設省都市局長通達)に基づき、昭和六十三年六月及び平成元年六月に建設大臣あて提出されているところである。

一の5から7までについて

 御指摘の調査は、調査方法も含め調査主体である東京都が自らの判断において実施したものと承知している。

一の8について

 東京都市計画都市高速鉄道第九号線の東北沢駅から梅ヶ丘駅までの区間は、現在地表式で都市計画決定されており、今後、東京都知事が都市計画を変更する方針であるか否かについては、承知していない。

二の1について

 御指摘の都市計画事業の認可に当たっては、都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第六十一条の規定に基づき、事業の内容が都市計画に適合し、かつ、事業施行期間が適切であること等を審査しているものである。

二の2について

 御指摘の都市計画事業の認可申請は、東京都が平成六年四月十九日に行い、その内容について厳正な審査を行った上で、同年五月十九日に建設大臣が認可したものである。

二の3について

 御指摘の都市計画事業の認可申請には、五百分の一の実測平面図が添付されていた。

三の1について

 御指摘の連続立体交差事業に対する補助金の交付の決定に当たっては、当該事業が都市計画事業の認可を受けたものであることから補助事業の目的及び内容が適正であると認めたものである。

三の2及び3について

 御指摘の事業費千九百億円における「都市における道路と鉄道との連続立体交差化に関する協定」(以下「建運協定」という。)第六条第一項に記載されている費用の別ごと及び同条第二項の事業費の区分ごとの内訳については、国は承知していない。
 また、御指摘の鉄道事業者が今後負担する本事業の区間の線増に係る費用については、国は承知していない。

三の4について

 御指摘の本事業に係る土地の取得費で千九百億円に含まれていない部分については、国は承知していない。

三の5について

 御指摘の本事業の事業費の比較検討は、東京都が自らの判断において実施したものと承知している。

三の6及び7について

 御指摘の二線二層シールド地下方式の事業費については、国は承知していない。

三の8について

 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第六条の規定に基づき、交付申請に係る補助金の交付が法令及び予算で定めるところに違反しないかどうか、補助事業の目的及び内容が適正であるかどうか、金額の算定に誤りがないかどうか等を調査し、補助金を交付すべきものと認めたことから、補助金の交付の決定をしたものである。

四について

 御指摘の本事業に関連して今後実施される事業の事業手法等については、東京都又は特別区が主体的に検討すべきものであり、国は承知していない。

五の1について

 連続立体交差事業は大規模かつ複雑な事業であること等の理由から、建運協定上事業主体を都道府県又は政令指定市に限定したものである。

五の2及び3について

 本連続立体交差事業の施行者は東京都であり、都市計画法及び建運協定に抵触するものではない。

五の4から6までについて

 御指摘の委託契約の契約方式については、国は承知していない。

六の1について

 御指摘の本事業の構造物の耐震設計において準拠している耐震基準は、普通鉄道の施設に関する技術上の基準の細目を定める告示(昭和六十二年運輸省告示第百七十七号)に定められている。同告示は昭和六十二年四月から施行されている。

六の2について

 右基準に基づく耐震設計により建設された構造物が何ガルの地震動に耐えられるかについては、個々の地盤条件等により異なるため一概には言えないが、当該基準は関東大震災や宮城県沖地震の経験を踏まえて作られたものであるため、これらの地震と同規模の地震には十分に耐えられると考えている。

六の3について

 鉄道構造物の耐震構造の在り方については、現在、運輸省に設置した「鉄道施設耐震構造検討委員会」で検討中である。

六の4について

 鉄道施設の耐震性能の確保については、「鉄道施設耐震構造検討委員会」の検討結果を踏まえて適切に対処するよう考えている。

六の5について

 建設後に耐震補強する方が当初から新たな耐震基準に従って建設するより建設費が高くなるかに関しては、新たな耐震基準の内容による。

六の6について

 平成七年四月二十七日に「鉄道施設耐震構造検討委員会」でとりまとめられた「阪神・淡路大震災に伴う鉄道復旧構造物の設計に関する特別仕様について」に基づいて高架鉄道施設の建設を行う場合、個々の条件等によって設計が異なることから、従来の仕様に比べて建設費が平均でどのくらい変わるかは算定できない。

六の7について

 鉄道構造物の耐震構造の在り方について現在「鉄道施設耐震構造検討委員会」で検討中であり、事業費に変更が生じるかについては一概に言えないが、耐震基準の検討は、高架及び地下方式の両方について行われることから、高架の場合にのみ事業費の変更につながるとは考えられない。

六の8について

 鉄道構造物の耐震構造の在り方については、現在「鉄道施設耐震構造検討委員会」で検討中であり、同委員会の検討結果を踏まえて適切に対処するよう考えているが、各事業者が同委員会の検討状況を参考として、建設中に行っておいた方が効率的であると考える対策を講ずることを妨げるものではない。