質問主意書

第132回国会(常会)

質問主意書


質問第二一号

現職自衛官によるオウム真理教に対する部内資料提供に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成七年五月三十一日

翫 正敏   


       参議院議長 原 文兵衛 殿


   現職自衛官によるオウム真理教に対する部内資料提供に関する質問主意書

 昨今マスコミ報道をにぎわせているオウム真理教に対して、多数の現職自衛官が防衛庁・自衛隊の部内資料を提供していたことが明らかになった。この一例をもってしても、従来の政府の答弁とは裏腹に防衛庁・自衛隊における情報保全体制がいかにずさんであるかが目の当たりにされたわけで、単に関係当事者の処分で済まされず、政府の見解を明らかにするために以下質問する。

一 第一空挺団所属自衛官による非常勤務態勢及び災害派遣準備態勢に関する情報提供について

 第一空挺団所属の自衛官が、警視庁等によるオウム真理教関連施設等に対する捜査に関連して、平成七年三月二〇日から二三日までの間の陸上自衛隊第一空挺団においてとられた非常勤務態勢及び災害派遣準備態勢の実態をオウム真理教に対して情報提供して処分を受けているが、これに関連して以下それぞれ明らかにされたい。

1 先に私が提出した「防衛庁・自衛隊における法律秘の保全に関する再質問」に対する政府答弁(一九九五年五月二六日)(以下「再質問答弁」という。)によれば、この提供された情報は「警視庁等による平成七年三月二十二日のオウム真理教関連施設等に対する捜索に関連するものであったことから、右捜索の時点以前においては、自衛隊法第五十九条第一項に規定する「秘密」に該当するものであった。」とのことである。つまり情報提供の時点いかんでは自衛隊法(昭和二十九年六月九日法律第百六十五号)第五十九条第一項に違反するものであった。一方で政府は、「当該情報は、それが提供された時点においては、自衛隊法第五十九条第一項に規定する「秘密」には該当しない。」(「防衛庁・自衛隊における法律秘の保全に関する質問」に対する政府答弁(一九九五年五月一六日))とも答弁している。そこで、

(1) オウム真理教への情報提供はいつ(何月何日)だったのか、
(2) その確証を政府は持っているのか、

をそれぞれ明らかにされたい。
2 この提供された情報は、再質問答弁でいう「右捜索の時点」以後は、

(1) 自衛隊法第五十九条第一項に規定する「秘密」(以下「法律秘」という。)に該当しなくなったのか、
(2) もしそうであるなら、その理由、

をそれぞれ明らかにされたい。
3 今回のように警察の捜査に関連して自衛隊において非常勤務態勢や災害派遣準備態勢がとられることは例外であろうことから、一般的に、非常勤務態勢や災害派遣準備態勢の実態が法律秘に該当するものかどうかを明らかにされたい。

二 第二対戦車ヘリコプター隊所属自衛官による化学兵器に関する情報提供について

 東北方面航空隊第二対戦車ヘリコプター隊所属の自衛官が化学兵器に関する内部資料を提供したことで本年五月二四日付で処分を受けているが、この件に関し以下それぞれ明らかにされたい。

1 提供された内部資料とは何か、その全ての文書名及び発簡番号を明らかにされたい。
2 これら提供された内部資料の中には法律秘は存在しなかったのか。

三 今回の一連の処分は、情報提供の相手がオウム真理教だったためになされたのか、言い換えれば犯罪の嫌疑に関わらない一般市民に対し同様の情報提供を行った場合でも同様の処分が下される可能性はあるのか。

四 これまでの一連の現職自衛官によるオウム真理教への情報提供の中には法律秘に該当するものが存在したかを明らかにされたい。

  右質問する。