質問主意書

第132回国会(常会)

質問主意書


質問第一八号

ガス事業の地震対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成七年五月十日

荒木 清寛   


       参議院議長 原 文兵衛 殿


   ガス事業の地震対策に関する質問主意書

 内陸直下型地震の恐ろしさをまざまざと見せつけた阪神・淡路大震災は、戦後最悪の大惨事となった。交通網は完全に寸断され、水道・電気・ガス等ライフラインは全てにわたって崩壊し、都市機能は完全に麻痺してしまった。東海地震や大都市直下型地震の危険性も指摘されており、都市防災の根本的な見直しが迫られている。
 ガスについては地震発生から約三か月後の四月十一日に、家屋の焼失・倒壊等により復旧が不能な需要家約十五万三千戸及び瓦礫の推積による道路封鎖等のため現時点において導管復旧が困難な一部の需要家を除き復旧が完了している。しかしながら、その間需要家は甚大な被害を被ったといわれている。
 そこで、ガス事業の地震対策に関して、以下の諸点について質問する。

一、今回の阪神・淡路大震災では、地震発生から六時間後に八十六万戸に対するガスの供給が停止されたと報じられている。ガス供給停止に当たっての考え方としては、二次災害を完全に防止するためにはガス供給の停止が最も確実な方法であるが、一度供給を停止すると復旧に時間を要し需要家に迷惑がかかるという面もある。ガス業界では一般的にいかなる判断基準の下に供給停止が行われていると政府は承知しているか伺いたい。
 また、政府は二次災害発生の有無についてどう判断されているか伺いたい。

二、ガスの供給停止が行われた場合、その早期復旧を図るためには、供給区域を細分化し、被害を受けた地域に対してのみガスの供給を停止するような対策を講じることが有効であると思われる。そのためには、導管網を分割できる緊急措置ブロックシステムの積極的な導入が重要であると認識しているが、政府の見解を伺いたい。

三、平成五年一月十五日に発生した釧路沖地震を教訓として、資源エネルギー庁にガス地震対策調査会が設置され、同年十二月八日に同調査会が報告書を取りまとめている。この調査会報告の指摘を受けて、本年二月二十八日に資源エネルギー庁公益事業部長名で、「ガス工作物の技術上の基準を定める告示第八十六条の二の運用について」の通達が出されている。
 それによれば、導管については「埋設される導管に関する耐震設計指針」に基づき設計されなければならないとされている。今回の地震では中圧導管、低圧導管に被害があったといわれているが、この指針に照らしてどうであったのか。また、この指針の見直しの必要性についてどう考えているのか、政府の見解を伺いたい。

四、資源エネルギー庁では今回の地震を踏まえ、ガス地震対策検討会を設置し、今後のガス事業の地震対策について検討しているようであるが、その検討項目、検討体制及び検討スケジュールについて伺いたい。
 なお、「代替熱源の提供等生活支援対策のあり方」についても検討項目として取り上げられていると思料するが、どのような方向で検討が進められているのか説明されたい。

五、阪神・淡路大震災の影響でガスの供給が停止した区域では、復旧に長期間を要したため、業務用分野だけでなく一般家庭でもLPガスへの転換が相次いだといわれている。LPガスボンベは移動式であるため、都市ガスに比べて災害時における緊急的対応が可能であり、迅速な供給燃料として評価されている。
 そこで、LPガスの災害時における有用性にかんがみ、公的施設に対してはLPガスを安定的供給燃料として位置付けを図るとともに、併せて、ガスコンロ等ガス燃焼機器の保有を促進する等LPガスを地震の非常時におけるライフ・スポットとして役立てるべきではないかと考えるがどうか。
 また、LPガス関係団体を災害対策基本法第二条第五号に規定する指定公共機関として指定し、災害発生時における応急措置が一層的確になされるよう検討すべきではないかと思料するが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。