質問主意書

第132回国会(常会)

質問主意書


質問第三号

自衛隊法第百条の八に基づく自衛隊機派遣に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成七年二月十三日

栗原 君子   


       参議院議長 原 文兵衛 殿


   自衛隊法第百条の八に基づく自衛隊機派遣に関する質問主意書

一、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第百条の八の趣旨は、海外の緊急事態に際して生命又は身体の保護を要する邦人の輸送のために自衛隊機を派遣することにある、と承知している。在外邦人等の生命又は身体の保護のために自衛隊機を派遣できる憲法の条文上の根拠を明示されたい。

二、本条による自衛隊機派遣は、政府の主観的な意図と関係なく憲法の禁ずる武力行使と判断されるおそれがないか。

三、本条では、防衛庁長官に対して安全確認が義務づけられている。この安全確認のための手続及び安全確認の基準について明示されたい。

四、自衛隊法の一部を改正する法律案の審議過程で、政府は、派遣する自衛隊機が攻撃された場合に自衛権の行使が可能であるとの答弁をしているが、畠山防衛局長(当時)は、「しかし、現実にそうなるとはとても想定できない」(本院内閣委員会、平成五(一九九三)年六月一〇日)としている。本条による自衛隊機派遣について自衛権行使の想定ができない根拠を明示されたい。

五、本条により派遣された自衛隊機による邦人輸送の際、自衛隊側の責任により当該邦人が生命身体に損害を受けた場合に国家補償を行うことは、国会での政府答弁(衆議院安全保障委員会、平成五(一九九三)年一一月一八日)により確認されている。しかし、自衛隊側に責任のない場合とはどのような事態を想定されているのか、明示されたい。

六、前記に関連して、自衛隊側に責任がなく当該邦人の生命身体に損害を受けた場合、事故などを引き起こした原因者側に対して政府は損害賠償等を請求する用意があるのか。

  右質問する。