質問主意書

第131回国会(臨時会)

質問主意書


質問第九号

中山間地域対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成六年十一月十六日

紀平 悌子   


       参議院議長 原 文兵衛 殿


   中山間地域対策に関する質問主意書

 我が国の中山間地域は国土面積の六八%、経営耕地面積で四一%、農家人口で四三%に及ぶが、地域的に、従来の基盤整備事業が不可能な水田も相当割合で存する。
 政府は、ウルグァイ・ラウンド農業合意関連で講ずべき対策として、中山間地域の振興のため、ウルグァイ・ラウンド合意の実施期間中(一九九五-二〇〇〇年度)に農家の農業収入を年四〇〇万円に引き上げ、観光収入等も年五七〇〇億円に向上させ、また地域の下水道整備率を五〇%までに引き上げる等の具体的数値目標を掲げている。
 しかしながら農業先進国である欧州連合諸国では、歴史的に、日本と同様、小規模農家が多く競争力に欠ける条件不利地域も多いものの、「直接所得補償」が英・仏・独各国で採り入れられ、地域格差の解決策とされている。例えばドイツでは、「年次補償金」として助成対象となる大家畜一単位または農用地一ヘクタール当たり通常年間五五~二四〇マルク、一経営当たり上限一万二千マルク(一マルクを約六五円とすると約七八万円)に及ぶ直接所得補償を実施しており、九一年度には受給農家は二二万戸、面積にして六五三万ヘクタールに達している。そこで、山間部等の条件不利地域を守り、食料品の自給を堅持するための方策等につき、以下質問する。

一、地域の人口減・過疎化が急速に進行する中、戦後農政の転換期にもかかわらず平成四年の農政審議会の報告では直接所得補償に反対の意向を示したが、これは世界の農政が近年目指す方向と逆の方針であり、中山間地農業、ひいては我が国農業の衰退を招くと考えるが、政府の見解はどうか。

二、条件不利地域を守り、自給を堅持するための方策として我が国でも中山間地域を食料自給の拠点と環境維持機能との二点で明確に位置付け、その生産活動を支援し、格差を是正する日本型直接所得補償を早急に行うべきと考えるが、その点について政府の見解はどうか。

  右質問する。