質問主意書

第130回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第四号

内閣参質一三〇第四号

  平成六年八月三十日

内閣総理大臣臨時代理             
国務大臣 橋本 龍太郎   


       参議院議長 原 文兵衛 殿

参議院議員竹村泰子君提出高レベル放射性廃棄物の処理処分及び貯蔵工学センターに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員竹村泰子君提出高レベル放射性廃棄物の処理処分及び貯蔵工学センターに関する質問に対する答弁書

一について

 本年六月に策定された「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」(以下「新長期計画」という。)に示されているとおり、地層処分候補地及び処分予定地の選定は、西暦二〇〇〇年を目安に設立が図られる処分事業の実施主体(以下「実施主体」という。)が行うこととしている。
 予備的調査を行う地層処分候補地の選定に当たっては、文献調査等により地質環境等の自然環境や土地利用状況等の社会環境について候補地として特段の問題が見いだされないことが重要な判断基準になるものと一般的には考えられる。

二及び三について

 新長期計画においては、地層処分に関し、その研究開発の進め方と処分の進め方とを区分し、それぞれ並行して進めるとの考え方で整理されている。
 すなわち、地層処分研究開発については、動力炉・核燃料開発事業団(以下「動燃事業団」という。)を中核推進機関として、多重バリアシステム(地層処分された高レベル放射性廃棄物中の放射性物質が、地下水によって人間環境に運ばれることを抑制するための仕組み。人工的に設けられる多層の安全防護系である人工バリアと、地層の天然バリアから構成される。)の性能評価研究、処分技術の研究開発、地質環境条件の調査研究等を行うこととされており、現在これらの研究等を進めているところである。一方、地層処分候補地での予備的調査及び処分予定地におけるサイト特性調査等については、実施主体が行うこととされている。
 平成三年度までの地層処分研究開発の進ちょく状況と成果については、平成四年に動燃事業団により第一次取りまとめとして公表され、原子力委員会放射性廃棄物対策専門部会において評価されている。西暦二〇〇〇年前までに予定されている第二次取りまとめについては、国は評価のための委員会を設け、その評価を行う予定である。
 実施主体が行う予備的調査等の評価については、評価基準を含め、今後検討されていくものである。

四について

 動燃事業団は、高レベル放射性廃棄物等の貯蔵、地層処分研究開発及びこれらに関連した研究開発を行う貯蔵工学センターの設立計画を立案していたところ、昭和五十九年に幌延町議会が誘致を議決した。
 これを受け、候補地を既存資料で調査したところ、必要な敷地が確保でき、放射性廃棄物等の輸送の点で支障がなく、地下に深地層試験に適した岩体が存在している見通しがあり、貯蔵工学センター建設に有望な地点と判断したため、動燃事業団は幌延町への立地を計画し、昭和六十年に立地環境調査の申入れをしたものであると承知している。

五について

 貯蔵工学センターの立地条件としては、立地地点及びその周辺において、大きな事故の誘因となる事象が起こることが考えられないこと、また、万一事故が発生した場合において、災害を拡大するような事象も少ないことが基本である。
 さらに、これに加えて必要な敷地が確保できること、放射性廃棄物等の輸送の点で支障がないこと、地下に深地層試験に適した岩体が存在することも必要である。

六について

 動燃事業団は、ガラス固化技術開発施設については、今後、使用済燃料の再処理の事業に関する規則(昭和四十六年総理府令第十号)第九条に基づき当該施設内に管理区域を設定した後、当該施設と高放射性廃液貯蔵場との配管接続工事を終了した上で、当該貯蔵場から高レベル放射性廃液(使用済燃料を溶解した液体から核燃料物質その他の有用物質を分離した残りの液体をいう。以下同じ。)を受け入れてガラス固化(高レベル放射性廃液をガラスにより容器に固型化することをいう。以下同じ。)を行うこととしている。動燃事業団は、当該管理区域の設定をもってホット試運転の開始としており、現在のところ、本年九月上旬を予定している。

七について

 ガラス固化技術開発施設において作られるガラス固化体(高レベル放射性廃液をガラス固化したものをいう。以下同じ。)については、ガラス固化体一本当たりの総放射能量、ガラス量等といった、仕様そのものについての具体的基準等により法的に規制されているのではなく、ガラス固化技術開発施設を設置する際に、同施設において処理することとしている廃液の放射能量等を踏まえ、ガラス固化体を取り扱う設備に係る放射線のしゃへいに関する構造、閉じ込めに関する構造等が十分な安全性を有することについて、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)に基づく再処理施設の設置又は設置変更承認申請に係る審査等において確認されることとなっている。また、運転開始後においても、同法に基づき、当該ガラス固化体を取り扱う再処理事業者は、保安規定を遵守すること、線量当量率等を記録しこれを保存すること、再処理施設の保全等保安のために必要な措置を講じること等が義務付けられている。

八について

 一般の方々に分かりやすい平易な表現として、「了承を得ておくものとします。」という表現をとったものである。