質問主意書

第130回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三号

防衛庁における「戦略」に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成六年七月二十一日

翫 正敏   


       参議院議長 原 文兵衛 殿


   防衛庁における「戦略」に関する再質問主意書

 先に私が提出した「防衛庁における「戦略」に関する質問」に対する政府答弁書の内容につき不明な点があるので再度質問する。

一 「戦略」、「防衛戦略」の定義について

 政府答弁書は、「防衛庁における『戦略』及び防衛諸計画の作成等に関する訓令(昭和五十二年防衛庁訓令第八号)第六条に規定される『防衛戦略』は、それぞれ一般的な意味で使用されている」としている。
 「戦略」は一般的に世間で使用される言葉であるが、厳密に定義され使用されているわけでない。従って諸外国において軍事組織が使用する場合には概念が混乱しないようその内部において統一した定義を定めている。一例を挙げると、米国国防総省においては「DICTIONARY OF MILITARY AND ASSOCIATED TERMS」(JCS Pub. 1)という用語集を作成しており、この中にはstrategy(戦略)も定義されている。
 また一般的に「国家戦略(national strategy)」、「軍事戦略(military strategy)」という言葉は諸外国においても使用されているが、「防衛戦略」という言葉は寡聞にして聞かない。およそ防衛庁・自衛隊独自の用語と考えられる。
 よって、以下の点についてそれぞれ明らかにされたい。

1 防衛庁・自衛隊内部において「戦略」、「防衛戦略」の概念を定義していないのか。もし定義していないのであれば、その理由は何か。
2 「防衛戦略」とは「戦略」の一形態なのか否か。
3 「防衛戦略」とは政府答弁書でいうところの「防衛の基本」と同じ意味なのか。

二 「防衛戦略」の性格について

 政府答弁書は「同訓令第六条の規定によれば、統合長期防衛見積りの中で『防衛戦略』を考察することとされているが、統合長期防衛見積りの内容については、事柄の性質上、答弁することを差し控えたい。」としている。こうした答弁は、戦前の「帝国国防方針」が、世界情勢判断に基づく想定敵国の確定と軍備の基本方針を定めたため、閣議で審議されたにもかかわらず、その内容は厳重に秘匿されたことを思い起こすものである。
 よって、以下の点についてそれぞれ明らかにされたい。

1 統合長期防衛見積りの中には「防衛戦略」が定められているのか。
2 同見積り、あるいは「防衛戦略」は「帝国国防方針」と同様の性格を持つものなのか。
3 同見積りの中で「『防衛戦略』を考察する」目的は何か。

  右質問する。