質問主意書

第129回国会(常会)

答弁書


答弁書第七号

内閣参質一二九第七号

  平成六年七月十二日

内閣総理大臣 村山 富市   


       参議院議長 原 文兵衛 殿

参議院議員翫正敏君提出JR東日本による言論弾圧に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員翫正敏君提出JR東日本による言論弾圧に関する質問に対する答弁書

一について

 駅舎内店舗での新聞雑誌の販売は、関係事業者間の商取引に係る契約に基づき行われているものと承知しており、御指摘の事項については、政府としてお答えする立場にない。

二について

 御指摘の事項は、当事者間の私法上の関係に係る個別具体の問題であると承知しており、憲法第二十一条との関係について政府としてお答えする立場にない。
 また、犯罪の成否については、捜査機関が収集した証拠に基づいて個別的に判断すべき事柄であるので、答弁を差し控えたい。

三について

 御指摘の件のうち、「東京スポーツ」に関する件については、株式会社東京スポーツ新聞社の発行に係る平成六年五月二十五日付け、二十六日付け及び二十七日付けの「東京スポーツ」において、菊池久氏執筆による「永田町の熱闘」と題する東日本旅客鉄道株式会社(以下「JR東日本」という。)に関係した記事が掲載され、六月四日付けの同紙に同記事に関する「お詫び」の記事が掲載されたことは承知している。
 また、「週刊文春」に関する件については、株式会社文藝春秋(以下「文藝春秋」という。)の発行に係る「週刊文春」六月二十三日号にJR東日本に関する記事が掲載されたこと、財団法人鉄道弘済会(以下「鉄道弘済会」という。)が、鉄道弘済会と文藝春秋との間に締結されている「週刊文春」の取引に関する契約条項を理由として、JR東日本の営業区域内の鉄道弘済会及び東日本キヨスク株式会社の店舗における同号の取扱いをしなかったこと、JR東日本の子会社である株式会社ジェイアール東日本企画が同号の中つり広告のJR東日本の列車内への掲出の取扱いをしなかったこと並びにJR東日本と文藝春秋の双方が東京地方裁判所に仮処分命令を申し立てたことは承知している。
 御指摘の件についてはこれ以外承知していないが、政府として調査する考えはない。

四について

 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律(昭和六十一年法律第八十八号)第十三条第二項に規定する権限は、同法第一条第一項に規定する会社が株式会社として的確な経営責任の下において自主的な事業運営を行うことにより、我が国の基幹的輸送機関としての機能を効率的に発揮させるという国鉄改革の趣旨に照らし、同法を施行するため特に必要があると認められる場合にのみ行使することとされており、鉄道事業に直接関係しない私法上の関係に基づく係争中の事案に関し、同権限を行使すべきものとは考えていない。
 また、本件は、鉄道事業法(昭和六十一年法律第九十二号)第二十三条第一項に基づく事業改善の命令を発すべき場合には該当しないものと考えている。