第129回国会(常会)
答弁書第四号
内閣参質一二九第四号 平成六年七月十五日 内閣総理大臣 村山 富市
参議院議員森暢子君提出動力炉・核燃料開発事業団人形峠事業所に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員森暢子君提出動力炉・核燃料開発事業団人形峠事業所に関する質問に対する答弁書 一について 動力炉・核燃料開発事業団人形峠事業所周辺環境保全等に関する協定書(昭和五十四年七月二十八日締結、平成元年三月十七日改定。以下「協定書」という。)においては、動力炉・核燃料開発事業団(以下「動燃」という。)が動燃人形峠事業所(以下「人形峠事業所」という。)において取り扱う核原料物質及び核燃料物質の種類は規定されていない。 二の1について 動燃は、人形峠事業所において今後平成九年度までの間行うことを予定している回収ウランの転換試験(以下「予定転換試験」という。)において、試験期間中、ウランの量が三百六十トンの範囲内で回収ウランを転換することを計画しており、現時点においても当該計画に変更はない。 二の2について 現在、動燃は、予定転換試験の終了後、ウランの量が約二百四十トンの回収ウランの転換試験を行うことを計画しているが、当該計画については、予定転換試験の結果を踏まえ、改めて検討することとしている。 二の3について 予定転換試験において使用する回収ウランの人形峠事業所への搬入に関する具体的な計画及び方法については、現在、動燃において検討されているところである。 二の4について 動燃は、人形峠事業所のウラン濃縮原型プラントにおいて、予定転換試験において転換された回収ウランの濃縮試験(以下「予定濃縮試験」という。)を行うこととしており、当該試験の実施に当たり動燃が行った事前評価によると、回収ウランが濃縮される過程において、環境中に放出されるウランの量は極めて微量であり、一般公衆に対する安全上の問題はないものと評価されている。 三の1について 人形峠事業所のウラン濃縮原型プラントにおいては、日本原燃株式会社の六ケ所ウラン濃縮工場において発生した計測制御設備の異常の原因となったピンと同種のピンは使用されていない。 三の2について 人形峠事業所のウラン濃縮原型プラントは、第一運転単位(DOP-1)が昭和六十三年四月から、第二運転単位(DOP-2)が平成元年五月からそれぞれ運転を開始しており、現在の計画では、十年間、連続運転を行う予定であるが、運転終了日については、今後、動燃において検討されることとなる。
四について 動燃は、予定濃縮試験において発生する劣化ウランを第3貯蔵庫に貯蔵することについては、現在、協定書に基づき、岡山県等の了解を得るため、協議しているところである。 五について これまで人形峠事業所内において発生した放射性廃棄物の種類は、スラッジ(フッ化カルシウム等の沈殿物)並びに機器等の解体により発生した金属類並びにフィルター及び紙タオル等の焼却により発生した灰等であり、これらの廃棄物は、平成六年三月末時点で、ドラム缶(容量二百リットル)約一万本に収納されている。 六について 御質問の「ウラン総合研究センター」は人形峠事業所のことであると推察されるが、人形峠事業所は、ウランの採鉱、製錬、転換及び濃縮等に関する研究開発を主な業務としている。 七の1について 人形峠及びその周辺のウラン鉱山において、坑内作業等が行われていた昭和三十年代から四十年代に当該作業に従事していた鉱山労働者の被ばく放射線量等に関して、動燃が保存していた記録については、動燃から財団法人放射線影響協会に引き渡され、現在、同協会が管理している。
七の2について 鳥取県の方面地区で探鉱坑道の掘削等の際に発生し、方面堆積場に堆積している捨石等については、搬出先をどこにするか等その取扱いは現時点で確定されていない。現在、動燃は、今後の取扱いについて、関係機関等の理解を得ることが重要と認識し、そのための努力を行っているところである。 八について 動燃は、人形峠事業所において、御質問にあるような研究を行うことは計画していない。 |