質問主意書

第129回国会(常会)

答弁書


答弁書第二号

内閣参質一二九第二号

  平成六年三月二十九日

内閣総理大臣 細川 護熙   


       参議院議長 原 文兵衛 殿

参議院議員竹村泰子君提出市民的政治的権利に関する国際規約第二十七条にいう「種族的、宗教的、言語的マイノリティ」の在日韓国・朝鮮人への適用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員竹村泰子君提出市民的政治的権利に関する国際規約第二十七条にいう「種族的、宗教的、言語的マイノリティ」の在日韓国・朝鮮人への適用に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 市民的及び政治的権利に関する国際規約(昭和五十四年条約第七号。以下「B規約」という。)第二十八条に基づき設置された人権委員会から出された「人権委員会の意見」の中に、御指摘のような記述があることは承知している。
 いずれにせよ、我が国においては、何人も自己の文化を享有し、自己の宗教を信仰しかつ実践し又は自己の言語を使用する権利は否定されていないので、御指摘の在日韓国・朝鮮人並びにかつての在日韓国・朝鮮人で日本国籍を取得した人々及び在日韓国・朝鮮人と日本国籍を有する者との間に出生した人々が、B規約第二十七条にいう「少数民族」であるか否かについては、必ずしも判断を要しないものと考える。

三について

 「民族」の用語は、一般的には文化、宗教、言語等を共有する人間の集団を意味するものとして使用されているものと考えられ、B規約第二十七条の趣旨から、同条中の「マイノリティ」の訳語として「少数民族」を用いることは不適切とは考えていない。

四について

 B規約は、すべての者に思想、良心、宗教の自由及び表現の自由を認めているが、B規約第二十七条は、特に、種族的、宗教的又は言語的少数民族に属する者が、自己の文化を享有し、自己の宗教を信仰しかつ実践し又は自己の言語を使用する権利を有していることを確認的に規定したものと解される。また、同条における締約国の義務は、同条にいう権利を否定しないことであって、同条は、少数民族に対する積極的な諸施策を講ずることまで義務付けているものではない。