質問主意書

第129回国会(常会)

答弁書


答弁書第一号

内閣参質一二九第一号

  平成六年三月二十九日

内閣総理大臣 細川 護熙   


       参議院議長 原 文兵衛 殿

参議院議員西岡瑠璃子君提出太陽熱利用の促進に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員西岡瑠璃子君提出太陽熱利用の促進に関する質問に対する答弁書

一について

 政府は、通商産業大臣の諮問機関である総合エネルギー調査会の平成二年六月の中間報告における「長期エネルギー需給見通し」を踏まえ、平成二年十月、閣議決定を行い「石油代替エネルギーの供給目標」を改定したところである。同供給目標においては、太陽熱が重要な部分を占める新エネルギー等の一次エネルギー総供給に対する構成比率を平成元年度の一・三パーセントから平成二十二年度には五・三パーセントとすることを目標としている。
 「長期エネルギー需給見通し」については、その後の経済社会情勢等の変化にかんがみ、今般、総合エネルギー調査会においてその検証作業に着手したところであるが、同調査会の議論も踏まえ、政府としても太陽熱利用機器の普及促進策を積極的に講じていくことにより、太陽熱利用の量的拡大を図り、新エネルギー等の導入目標を達成すべく、最大限の努力をしてまいりたい。

二について

 御指摘の太陽熱エネルギーのコストについては、その定義及び算出方法が明確に確立されてはいないが、太陽熱利用機器の他の主要なエネルギーの利用機器に対する価格競争力については、太陽熱利用機器の導入により節約される年間燃料費と太陽熱利用機器の初期設置費用を比較し、初期設置費用が回収されるまでの年数を計算することにより、把握することができる。
 具体的には、例えば、太陽熱利用機器の一つであるソーラーシステムと石油エネルギー利用機器を比較した場合、原油価格が今後、現状程度で推移すると仮定すると、比較する燃料により異なるが、数年から二十数年程度で初期設置費用が回収できるとされている。
 また、御指摘の太陽熱エネルギーの間接コストについても、その定義及び算出方法が明確に確立されてはいないものの、極めて少ないものと認識している。

三について

 一についてにおいて述べたとおり、政府は平成二年十月、閣議決定を行い「石油代替エネルギーの供給目標」を改定したところであり、同供給目標においては、太陽熱が重要な部分を占める新エネルギー等の一次エネルギー総供給に対する構成比率を平成元年度の一・三パーセントから平成二十二年度には五・三パーセントとすることを目標としている。
 この供給目標を達成するため、太陽熱利用機器の一つであるソーラーシステムの普及促進策として、従来よりテレビ放映等による広報事業や住宅への設置に必要な資金に係る利子補給事業に対する補助、また、住宅展示場及び公共施設等への設置に対する補助を行ってきたところである。さらに、これらに加え平成六年度よりソーラーシステムの使用者に対する相談事業及び設置工事業者に対する指導事業について補助を行う予定である。
 これらの施策はソーラーシステムの普及に必要不可欠なものと認識しており、今後ともこれらの施策の着実な実施を通じ、ソーラーシステムの普及促進に努力してまいりたい。

四について

 太陽熱利用機器の普及促進を図るため、従来より融資面及び税制面での各種優遇措置を講じてきたところである。
 具体的には、融資面では、ソーラーシステムを設置する個人に対する利子補給及び中小企業金融公庫等による事業者に対する低利融資が行われている。また、税制面では、エネルギー需給構造改革推進投資促進税制等により、太陽熱利用機器を設置する事業者に対し税額控除等を認める措置を講じてきたところである。今後とも、これらの優遇措置を通じ、ソーラーシステムの普及促進に努力してまいりたい。

五について

 ソーラーシステム導入促進のため、昭和五十五年度から行ってきた公共施設等への設置補助は、現在までに補助額にして約二百十億円、件数にして約千八百件に上っているところである。これら地域住民に密接にかかわる体育館や公民館等の公共施設等への設置を通じ、ソーラーシステムの普及啓蒙効果が十分に期待できるものと認識しており、引き続き、このような補助制度の活用による普及啓蒙を積極的に行い、民間需要の喚起を行うことによりソーラーシステムの普及促進を図ってまいりたい。