第126回国会(常会)
答弁書第一八号
内閣参質一二六第一八号 平成五年六月二十九日 内閣総理大臣 宮澤 喜一
参議院議員高崎裕子君提出「国際先住民年」にあたりアイヌの人々の生活と権利の保障等を求める質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員高崎裕子君提出「国際先住民年」にあたりアイヌの人々の生活と権利の保障等を求める質問に対する答弁書 一の(1)について 世界の先住民の国際年(以下「国際先住民年」という。)に当たり、政府としては、これまで国際先住民年の意義等に関する国内広報を、政府広報誌「時の動き」及び「フォト」を活用して行ってきたところである。 一の(2)について 「世界の先住民の国際年のための国連自発的基金」への拠出として五万米ドルを計上している。 一の(3)について 一の(1)についてにおいて述べたとおり、既に政府広報誌を活用した広報を行っており、ポスター作成による広報を行う予定はない。 一の(4)について 民間が作成した特定の資料について、博物館、図書館に備え付けるかどうかは、基本的にはそれぞれの設置者において判断すべき事柄であると考える。 一の(5)について 北海道ウタリ協会からは数度にわたり国際先住民年に係る要請を受けており、その意見を踏まえた上で国際先住民年への取組を行っている。 二の(1)について 北海道ウタリ対策関係省庁連絡会議の下に設置された検討委員会(以下「検討委員会」という。)は、現在、北海道の設置したウタリ問題懇話会の関係者を中心にヒアリングを行っているところである。
二の(2)について 北海道内の地方公共団体からのアイヌ新法制定の要望については承知しているが、この問題は種々難しい問題を含んでおり、今後とも検討委員会において慎重に検討を進めていくこととしている。 二の(3)について 検討委員会においては、新しい法律の制定の是非をも含めて検討を行っているところである。 三の(1)及び(2)について 政府としては、ウタリ子弟の高等学校等への進学を奨励するため、北海道が行う進学奨励事業に対し補助を行っており、逐年その拡充を図ってきているところである。
三の(3)について 生活指導職員や職業相談員については、報酬単価の改善を図る等、従来から、その活動の充実を図っているところである。 三の(4)について アイヌの人々の就職の促進と雇用の安定を図るため、その需要に応じて、できる限り多様な職業訓練が受けられるよう、毎年、北海道が職業能力開発計画の策定をするに際し、訓練科目やその内容の見直しの指導をしてきているところである。
三の(5)について アイヌの人々に対しては、その需要に応じて、公共職業能力開発施設が他の教育訓練施設に職業訓練を委託するなど、できる限り多様な職業訓練が受けられるようにしているところである。
四の(1)について 地域の特色を示す民俗文化財あるいは歴史資料の保存・活用を図るための施策として、地方公共団体が設置する歴史民俗資料館の建設への助成を行い、民俗文化財等の地域における拠点作りを進めているところであるが、現在のところ、御指摘のような国立の施設を設置することは考えていない。
四の(2)について 本年九月に国立劇場で開催予定の「アジア・太平洋うたとおどりの祭典」及び本年秋に全国の五都市で開催予定の民俗芸能大会において、アイヌ古式舞踊を上演することについて、現在関係機関等と連絡を取りつつ、検討を進めているところである。
四の(3)について ユーカラの伝承に関連する施策としては、北海道教育委員会が行うアイヌ生活文化用語の伝承教室事業に対して補助を行っており、逐次実施地区数を増やしてきているところである。 四の(4)について アイヌ古式舞踊のうち重要無形民俗文化財に指定されていないものに対する指定の拡大については、北海道教育委員会が実施したアイヌ古式舞踊の調査事業の結果等を踏まえて適切に対処してまいりたい。 五の(1)について 北海道教育大学岩見沢校における御指摘の取組については、アイヌ文化に関する理解を深める上で有意義なものであると考える。 五の(2)について 大学における必要な講座の開講については、各大学における自主的な判断を基に実施されるものと理解している。 |