質問主意書

第126回国会(常会)

答弁書


答弁書第一三号

内閣参質一二六第一三号

  平成五年七月十三日

内閣総理大臣 宮澤 喜一   


       参議院議長 原 文兵衛 殿

参議院議員荒木清寛君提出視覚障害者の福祉の増進に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員荒木清寛君提出視覚障害者の福祉の増進に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘のガイドヘルパー派遣事業は、重度の視覚障害者等の歩行、各種交通機関の利用等による移動を介助するため、障害者に付き添うホームヘルパーを派遣するものであり、当該ホームヘルパーが自ら自動車を運転することは想定していない。

二について

 網膜色素変性症については、昭和四十九年度から原因の究明及び治療法の確立を目指し研究を進めているところである。
 また、御指摘の特定疾患治療研究事業は、診断基準は確立しているが、原因が不明であり、難治度及び重症度が高く、さらに、患者数が少ないため公費負担の方法により受療を促進しないと原因の究明、治療方法の確立等に困難を来すおそれがある疾患を対象としており、網膜色素変性症については、いまだ明確な診断基準が確立されていないため、現時点においては、当該事業の対象疾患とすることは困難である。
 身体障害者の障害程度の等級については、専門家からなる身体障害者福祉審議会審査部会における検討結果に基づいて定めているところである。視野狭さくについては、視野の機能の程度により四級又は五級の評価を行っているところであるが、この評価の見直しについては、他の障害の評価との均衡等を踏まえつつ、慎重に検討すべき課題であると考えている。

三について

 障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号。以下「障害者法」という。)に基づく身体障害者雇用率を障害の種類別に設定した場合には、職種又は業種によってその雇用の可能性が大きく異なり、公平性の確保等の観点から障害者雇用を進める上でかえって問題が多いと考えられること等から、すべての身体障害者を包括して一つの身体障害者雇用率が設定されているところである。
 なお、視覚障害者については、障害者法に基づき、一定の職種について特定身体障害者雇用率が設けられており、その雇用の促進については特別に配慮されているところである。
 また、障害者法第十四条第三項において、身体障害者雇用率の算定に当たっては、重度身体障害者である労働者は、その一人をもって二人の身体障害者である労働者に相当するものとみなすこととされており、障害の程度に応じた配慮がなされているところである。
 視覚障害者の適職の開発及び研究等については、平成二年二月から平成四年一月まで日本障害者雇用促進協会が視覚障害者職域開発研究会を設置し、研究を行ったところであるが、その成果については、平成三年度から重度視覚障害者等の雇用の促進を図ることを目的として実施している重度障害者雇用促進プロジェクト事業等において活用しているところである。政府としては、今後とも、視覚障害者の雇用の促進を図ってまいりたい。
 身体障害者の授産施設、福祉工場等の施設整備については、国においてその費用の十分の五を補助し、促進を図っているところである。なお、これらの施設については、地域における視覚障害者を含む身体障害者の状況を踏まえて整備が進められることが適当であると考えている。

四について

 盲導犬を伴う視覚障害者が、旅館、飲食店等を円滑に利用できるようにするためには、営業者や他の利用客等の十分な理解と協力が必要であることから、今後とも、その啓発に努めるとともに、必要に応じ、関係業界を指導してまいりたい。

五について

 現在、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律(昭和六十一年法律第八十八号)第一条第一項に規定する旅客会社が実施している身体障害者に対する運賃割引制度については、割引による減収を一般的に他の利用者の負担によって賄うこととされている。
 当該割引制度を現状以上に拡大することについては、これによる減収分の負担の在り方、身体障害者対策全般との関係等慎重に検討すべき問題があると考えられる。