質問主意書

第126回国会(常会)

答弁書


答弁書第八号

内閣参質一二六第八号

  平成五年六月十一日

内閣総理大臣 宮澤 喜一   


       参議院議長 原 文兵衛 殿

参議院議員紀平悌子君提出平成四年四月の診療報酬改定に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員紀平悌子君提出平成四年四月の診療報酬改定に関する再質問に対する答弁書

一について

 平成三年六月に実施された中央社会保険医療協議会の医療経済実態調査では、前回調査(平成元年六月)と比べ、一般病院の約四割の開設者である医療法人を見た場合、病床百床当たり、医業収入が六千百二十八万五千円から六千三百五十三万九千円に、医業費用が五千六百七十六万三千円から六千百四十一万七千円となり、医業収支差額は四百五十二万二千円から二百十二万三千円に、医業収支差額の医業収入に占める割合は七・四パーセントから三・三パーセントに減少している。
 平成四年四月の診療報酬改定に当たっては、こうした調査結果等に示された医業費用や医業収入の動向のほか、看護問題等医療を取り巻く諸状況を総合的に勘案して、その引上げ率を五・〇パーセントとして設定したものである。

二について

 従来から、国民に良質な医療を安定的に提供するための施策を推進してきたところであるが、近年、看護職員の確保等が重要な課題となっているため、平成四年十一月施行された看護婦等の人材確保の促進に関する法律(平成四年法律第八十六号)を基盤としつつ看護職員の離職防止を図る等施策の充実・強化に努めているところであり、今後とも適切に対処してまいりたい。

三について

 平成四年度の厚生省の看護婦等確保対策費約八百四十六億八千二百万円(補正予算計上分を含む。)のうち、看護婦等養成所運営費以外の予算としては、養成力の拡充強化に係るものとして約五十九億四千三百万円、就業の促進に係るものとして約五億八千七百万円、資質の向上に係るものとして約二億三千百万円、離職の防止や処遇の改善に係るものとして約六百二十八億四千六百万円、及びその他看護業務の見直しに係る経費等として約三千七百万円が計上されている。

四について

 それぞれ法的な根拠はないが、「腎疾患の専門医」、「アレルギー疾患の専門医」、「循環器病の専門医」、「耳鼻科医」、「皮膚科医」又は「整形外科医」とは、主として当該疾患又は当該診療科に係る治療等を担当している医師のことであり、また、「地域のかかりつけ医師」とは、主として地域においてプライマリ・ケア機能を担って患者の病歴や生活背景等を踏まえた治療等を行う医師のことである。

五について

 地域のかかりつけ医師が、専門医と連携して診療を行うことは想定されるが、御指摘の事例における療養上の指導の評価は、基本診療料等の中に含まれて評価されているところである。
 なお、地域のかかりつけ医師と専門医との間における診療情報の提供のうち一定の要件を満たすものについては、診療情報提供料により評価されているところである。

六について

 特定疾患療養指導料は、継続的な日常生活の指導を必要とする成人病等の慢性疾患について、地域のかかりつけ医師が計画的に療養上の指導を行った場合に、初診の日から起算して一箇月を経過した日以降について評価することとしたものであり、初診の日に行った療養上の指導又は当該初診の日から一箇月以内に行った療養上の指導については、初診時基本診療料又は初診料として評価することとしているものである。

七について

 薬剤料の算定における多剤投与に係る措置は、外来患者に対する薬剤使用の適正化を図るため、医学的検討を踏まえ採られたものであり、この措置を緩和する考えはない。
 なお、複数の成分の投薬を必要とする場合であって、散剤や液剤を混合して服薬できるようにした場合は、一種類と勘定することとされており、御指摘のような事例にあっても十種類以上の投薬がなされることは通常想定されない。

八の(1)について

 医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第十三条は、診療所が患者を長期間にわたって収容し、本格的な医療を提供するための施設ではないことから置かれている規定であり、従来からその趣旨の周知徹底を図ってきたところである。

八の(2)について

 診療所については、医療法第十三条において、患者を収容する場合においても、原則として四十八時間を超えて収容しないように努めなければならないこととされていることから、恒常的に一定程度以上の期間同一の患者を収容し医療を提供する病院とはその役割を異にするものである。
 このように病院と役割の異なる診療所に対し、基準看護、基準給食及び基準寝具設備は適用されないものとしているところである。