質問主意書

第126回国会(常会)

質問主意書


質問第一四号

教範類の「対国民秘」扱いに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成五年六月十六日

翫 正敏   


       参議院議長 原 文兵衛 殿


   教範類の「対国民秘」扱いに関する質問主意書

 教範類の内容について政府は、従来から、装備の性能・操法・運用、部隊の運用等自衛隊の能力及び行動要領等にかかわる事項を含んでいることを理由として国会における質問に対しても明らかにしてこなかった。
 しかしながらこれら教範類は、陸上自衛隊に限っていえば「陸上自衛隊公報」(以下「公報」という。)においてその内容が公開されていた(「公報」は一九六一年~七四年にかけて発行)。言うまでもなく「公報」は、国立国会図書館法第二四条に基づき同図書館に寄贈されていたものであり、この点からも政府は教範類の内容について広く国民に知らしむべきものとの立場を採っていたわけである。
 従来、「秘密保全に関する訓令」〔防衛庁訓令第一〇二号〕(以下「訓令」という。)に基づく秘密に指定されていない教範類が「公報」に掲載されることにより、自衛隊員以外のものでも知り得る状態にあった。それが、「公報」の廃刊により「訓令」に基づく秘密に指定されていない教範類に対する自衛隊員以外のものの「知る手だて」を失わしめたのは、結果的に「対国民秘」ともいうべき国民にのみ包括的に秘密にする制度を制定した状態に国民を置くことになり、国民の知る権利という立場からもないがしろにできない問題である。
 よって政府の見解をただすために以下質問する。

一 「公報」が発行されていた当時は、教範類は国民に広く知らしめるべきものと政府は考えていたのではないのか。

二 当時政府が、教範類を「公報」に掲載していた理由について明らかにされたい。

三 政府はいつの時点から教範類を「対国民秘」として扱い始めたのか。またその理由と根拠は何か。

四 既にいったん「公報」に掲載した教範類をその後国民が知り得なくなるように秘匿することで得られる利益は何なのか明らかにされたい。

  右質問する。