質問主意書

第126回国会(常会)

質問主意書


質問第一三号

視覚障害者の福祉の増進に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成五年六月十六日

荒木 清寛   


       参議院議長 原 文兵衛 殿


   視覚障害者の福祉の増進に関する質問主意書

 「国連・障害者の十年」も昨年をもって終了し、「国連・障害者の十年」以降の障害者対策の在り方については、本年一月、中央心身障害者対策協議会の意見具申が内閣総理大臣に提出された。
 同意見を踏まえ政府は、新たに長期的視点に立った「障害者対策に関する新長期計画」を本年三月に策定し、「国連・障害者の十年」終了後も障害者対策をなお一層推進するものとなった。
 「新長期計画」は、国が障害者対策に関する責務と積極的な取組を表明するとともに、障害者の主体性、自立性の確立を促し、すべての人の参加による、すべての人のための平等な社会づくりを強調、また、障害者の重度化、重複化及び高齢化への対応などを取り上げ、さらに、施策の具体化に当たっては、政府、各機関の連携、総合性をうたっている。
 こうした動向に対応し、障害者の中でも特に重度化、高齢化の割合が高い、視覚障害者の実態とニーズにこたえた福祉を増進するため、以下質問する。

一 視覚障害者の外出時の付添いを行うガイドヘルパー派遣事業において、視覚障害者の移動のための公共交通機関がない場合、ガイドヘルパーが自動車を使用することを認めるべきではないか。

二 網膜色素変性症に対する研究体制を充実させ、一刻も早く原因・有効な治療法を究明するとともに、特定疾患治療研究事業の対象疾患(いわゆる難病指定)にするべきではないか。また、身体障害者障害程度等級表において、視野狭窄の評価改善を行わないのはなぜか。

三 障害者全般の雇用状況については相当改善されてきているものの、なお、視覚障害者の雇用は必ずしも十分に改善されていない状況にある。また、障害の種類別、程度別で障害者の雇用状況に差が生じている。そこで、障害者雇用率を障害種類別、程度別に改め、低調と見られる重度視覚障害者の適職の開発、研究及び実践など、雇用対策を積極的に推進すべきだと考えるが、どうか。
 また、雇用困難な視覚障害者が主体となる授産施設、福祉工場等の増・開設を促進すべきではないか。

四 道路交通法では、視覚障害者が道路を通行する時は白い杖か盲導犬を連れていることが定められている。盲導犬は法律で認められた視覚障害者の歩く「眼」であり、厚生省、運輸省からそれぞれ、盲導犬を連れた視覚障害者の旅館や飲食店などの利用について、関係業者が十分配慮する等を内容とする通達が出されている。しかし、通達はあくまでも配慮をお願いするという要望であり、法的な拘束力を持つものではない。現に、衛生的に不安がある、他の客から苦情が出る等を理由に盲導犬の出入りを禁止している施設もあるとのことである。旅館等の盲導犬に対する理解を今後徹底するため、政府はいかなる施策を採るのか。

五 身体障害者のJR旅客運賃割引は、単独で百一キロ以上乗車する場合、普通乗車券が五割引となる。一方、百一キロ以下は比較的近距離でもあり、障害者が単独で乗車する頻度も多いのにもかかわらず、運賃割引が認められていない。障害者が単独で乗車する際にも、百一キロ以下もぜひ旅客運賃割引を実現すべきだと考えるがどうか。

  右質問する。