質問主意書

第126回国会(常会)

質問主意書


質問第四号

多国籍軍によるイラク爆撃に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成五年三月二十九日

翫 正敏   


       参議院議長 原 文兵衛 殿


   多国籍軍によるイラク爆撃に関する質問主意書

 米英仏三ヵ国軍によるイラクに対する空爆が本年一月一三日夜(現地時間、以下同じ)に行われ、さらに米軍単独によるイラクに対する巡航ミサイルでの攻撃が一月一七日、さらに一月一八日には米英仏三ヵ国軍による空爆が再び行われた。これら攻撃に際して、その攻撃を認め得るような国連安全保障理事会決議は何ら採択されていない。また当時我が国は安保理の議長国であり、この件に関し深くかかわる立場であったことをかんがみ以下質問する。

一 今回の三つの爆撃には、安保理決議の根拠が存在したのか。存在するのであれば、その決議と該当する条項について明らかにされたい。

二 一月一七日の巡航ミサイルでの攻撃は、ペルシャ湾と紅梅に展開中の艦船からイラクの首都バグダッド郊外にある核関連施設を攻撃したものと報道されている。この攻撃について、

1 「戦時海軍力ヲ以テスル砲撃ニ関スル条約」の第一条「防守セラレサル港、都市、村落、住宅又ハ建物ハ海軍力ヲ以テ之ヲ砲撃スルコトヲ禁ス」に違反するものではないのか。もし違反しないと政府が考えるのであればその理由を明らかにされたい。
2 「国際的武力紛争の犠牲者の保護に関し、一九四九年八月一二日のジュネーヴ諸条約に追加される議定書」(第一追加議定書)の第五六条第一項「危険な威力を内蔵する工作物又は施設、すなわち、ダム、堤防及び原子力発電所は、それらの物が軍事目標である場合にも、その攻撃が危険な威力を放出させ、その結果文民たる住民の間に重大な損失を生じさせる場合には、攻撃の対象としてはならない」に違反するものではないのか。もし違反しないと政府が考えるのであればその理由を明らかにされたい。
3 こうした核関連施設への攻撃が、原子力施設へのいかなる攻撃も禁止することを求めた、国連総会決議三六/二五(八一年一一月一一日)、同四一/五九I(八六年一二月三日)、同四五/五八J(九〇年一二月四日)に反すると考えられるが、政府の見解を明らかにされたい。

三 当時日本は、安保理の議長国としてこの問題にどう対応したのか。具体的に明らかにされたい。

  右質問する。