質問主意書

第125回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一一号

内閣参質一二五第一一号

  平成五年一月十九日

内閣総理大臣 宮澤 喜一   


       参議院議長 原 文兵衛 殿

参議院議員梶原敬義君提出大韓航空機事件の真相究明に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員梶原敬義君提出大韓航空機事件の真相究明に関する質問に対する答弁書

一、二の3並びに三の1及び2について

 御指摘の大韓航空機撃墜事件については、平成四年十二月八日、九日の二日間にわたってモスクワで開催された韓国、ロシア、米国及び我が国の四か国会合において、ロシア政府等から関連の資料が国際民間航空機関(以下「ICAO」という。)に引き渡され、ICAOの場で調査分析が行われるべきことが合意された。これに基づき平成五年一月八日に、ロシア政府からICAOに対し、フライト・レコーダー及びボイス・レコーダーの「原テープ」が引き渡された。我が国政府としては、ICAOを通じての真相究明を今後進めていく所存であるが、我が国政府としてICAOの調査と別個に独自の調査を行うために、ロシア政府に対し、御指摘の点も含め、照会あるいは資料の要求を行うことは考えていない。いずれにせよ、ICAOを通じて一層の真相究明が実現することを期待している。

二の1及び2について

 御質問の「外務省の翻訳」とは、ロシア政府から提供されたロシア語資料を我が国の御遺族に取り急ぎお渡しするため、取りあえずの仮訳として作成し同資料に添付したものである。
 御指摘の部分は、いずれも、継続的な文脈の中で出てくるものであり、正確な訳出は困難であるが、「ГОСПОДИН ДИРЕКТОР」と記された部分は航空機の操縦室間で交わされた交信であることから、「機長」と仮訳したものである。また、「ΠOΠЫTKA BЫXOДA B ЭФИР,СPЫB TAHГEНTЫ」と記された部分は、取りあえず「管制圏を出る、出た。」と翻訳し、その後専門家の意見も踏まえて修正を加え、「大空に出る試み、?が機能しない。(訳注:この部分翻訳困難)」としたものである。
 いずれにせよ、一、二の3並びに三の1及び2についてにおいて述べたとおり、ボイス・レコーダーの「原テープ」がICAOに引き渡されたので、ICAOの場で調査分析が行われることによって、一層の真相究明が進むことを期待している。

二の4について

 運輸省が昭和五十八年当時公表した資料における関係者の発信時刻は、日本電信電話公社(当時)時報サービスに基づく時刻であり、この記録は正確なものと考えている。

三の3について

 フライト・レコーダーの「原テープ」は平成五年一月八日にロシア政府からICAOに引き渡され、現在はICAOが保管している。

四について

 御指摘の大韓航空〇一五便の朴用萬機長及び同乗乗務員を韓国国会において証人として喚問するか否かは、韓国国会が判断すべき問題であり、我が国政府として、韓国政府にそのような証人喚問を促す立場にはないと考える。

五について

 韓国、ロシア、米国及び我が国の間で本件に関する会合が開催され、関連の資料がICAOに引き渡されることが合意されたことは一、二の3並びに三の1及び2についてにおいて述べたとおりである。これを受けて我が国政府は、ICAO理事会で新資料を踏まえた調査の再開を強く呼び掛け、平成四年十二月十八日、調査再開が決定されたところである。ICAOが具体的にいかなる形で調査を行うかについては今後のICAOでの検討を待ちたいと考えている。

六について

 一、二の3並びに三の1及び2についてにおいて述べたとおり、平成四年十二月八日、九日の二日間にわたってモスクワで韓国、ロシア、米国及び我が国の四か国会合が開催されたが、同会合に対しては、枝村駐ロシア大使を代表として参加させるなど、我が国政府としても積極的に対応したところである。