質問主意書

第123回国会(常会)

答弁書


答弁書第二三号

内閣参質一二三第二三号

  平成四年七月十四日

内閣総理大臣 宮澤 喜一   


       参議院事務総長 戸張 正雄 殿

参議院議員山田俊昭君提出電気事業会計規則に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員山田俊昭君提出電気事業会計規則に関する質問に対する答弁書

一について

 劣化六ふっ化ウランは、現在、発電用の核燃料として使用されていないため、核燃料としての会計整理の対象とはならない。
 なお、同ウランの会計上の処理は、加工工程中における濃縮廃棄分として、同ウランの数量を加工中核燃料の数量から減ずることにより処理されている。

二について

 プルトニウムは、現在、発電用の核燃料として使用されていないことから、会計整理上、核燃料勘定で整理されていないが、有用な物質であり、資産として管理する必要があることから、貯蔵品勘定をもって会計整理を行っている。

三について

 関西電力株式会社が動力炉・核燃料開発事業団より劣化六ふっ化ウランを引き取ったのは事実であると承知している。
 なお、引取りが行われたのは御指摘の千九百九十年三月ではなく、同年九月と承知している。
 また、他に電力会社が劣化六ふっ化ウランを引き取った事実はないと承知している。

四及び五について

 劣化六ふっ化ウランは、現在、発電用の核燃料として使用されておらず、また、資産としての価値を持たないことから、資産としての会計整理の対象とはならず、加工工程中における濃縮廃棄分として処理されている。
 関西電力株式会社も、劣化六ふっ化ウランについて、資産としての会計整理は行っておらず、加工工程中における濃縮廃棄分として処理していると承知している。

六について

 三菱原子燃料株式会社及び原子燃料工業株式会社の会計の詳細については、政府として知り得る立場になく、お答えは差し控えさせていただきたい。

七について

 MOX燃料は、核燃料としての会計整理の対象となるが、成型加工中は加工中核燃料、半製品として貯蔵中は半製品核燃料、完成後は完成核燃料、装荷中は装荷核燃料、原子炉から取り出した後は、使用済核燃料として整理されるなど、それぞれの段階に応じて、会計整理が異なっている。
 このため、加工中核燃料明細表及び半製品核燃料明細表についても、これらに該当するものがあれば、それぞれ該当する表中の項目に会計整理される。
 関西電力株式会社においては、MOX燃料の照射を終え、現在、使用済燃料貯蔵設備にて貯蔵しているところであり、会計上は、再処理核燃料のうち使用済核燃料として会計整理していると承知している。
 日本原子力発電株式会社においては、MOX燃料の照射を終え、現在、当該燃料に関する照射後試験を外部の試験研究機関に委託しているところであり、会計上は、雑流動資産のうち雑口として会計整理していると承知している。

八について

 日本原子力発電株式会社が使用したMOX燃料に含まれるプルトニウムは、同社の所有するプルトニウムであると承知している。
 また、関西電力株式会社が使用したMOX燃料に含まれるプルトニウムは、同社の所有するものと、動力炉・核燃料開発事業団から貸与されたものであると承知している。

九について

 個別の私企業の営業活動の内容に触れるものであり、商取引に影響を及ぼすおそれがあるため、政府からのお答えは差し控えさせていただきたい。

十について

 プルトニウム明細表中の期中受入高の欄におけるプルトニウムのキログラム当たりの金額は、過年度分の精算による差異を除けば、再処理核燃料明細表中のプルトニウム振替額のキログラム当たりの金額と同じであるが、具体的な金額については、個別の私企業の営業活動の内容に触れるものであり、商取引に影響を及ぼすおそれがあるため、政府からのお答えは差し控えさせていただきたい。

十一について

 再処理は、有用物質を取り出すと同時に、廃棄物の処理を容易にするものであり、再処理費用を、それぞれについて明確に区分することはできない。
 このため、減損ウラン振替額及びプルトニウム振替額は、それぞれ、市場価格、売却価格に基づき算定している。

十二について

 昭和四十五年から平成三年までに、東京電力株式会社、中部電力株式会社、関西電力株式会社、中国電力株式会社、四国電力株式会社、九州電力株式会社及び日本原子力発電株式会社が、約二・二トンのプルトニウムを動力炉・核燃料開発事業団に売却してきたところであり、例えば、平成三年の売却価格は、キログラム当たり約百二十万円であると承知している。
 なお、電気事業者の取引の詳細を明らかにすることは、個別の私企業の営業活動の内容に触れるものであり、商取引に影響を及ぼすおそれがあるため、政府からのお答えは差し控えさせていただきたい。

十三について

 我が国におけるMOX燃料の使用実績は、関西電力株式会社及び日本原子力発電株式会社が実証試験で使用した例があるだけであるが、それぞれのキログラム当たりの金額については、個別の私企業の営業活動の内容に触れるものであり、商取引に影響を及ぼすおそれがあるため、政府からのお答えは差し控えさせていただきたい。
 また、計算方法については、一般的には、普通の核燃料と同様に、MOX燃料の原料取得原価に成型加工費等を加算して算出するものと考えられる。

十四について

 我が国におけるMOX燃料の使用実績は、関西電力株式会社及び日本原子力発電株式会社が実証試験で使用した例があるだけであり、普通の核燃料成型加工代とMOX燃料の成型加工代は、一概には比較できないものの、一般的には、MOX燃料の成型加工代は、燃料加工工程において普通の核燃料に比して品質管理や放射線の遮へい等の措置をより厳重に講じる必要があること等から普通の核燃料成型加工代より相対的に高くなると考えられる。