質問主意書

第123回国会(常会)

答弁書


答弁書第三号

内閣参質一二三第三号

  平成四年二月二十一日

内閣総理大臣 宮澤 喜一   


       参議院議長 長田 裕二 殿

参議院議員村沢牧君提出米の市場開放問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員村沢牧君提出米の市場開放問題に関する質問に対する答弁書

一について

 米は、我が国農業の基幹作物であり、稲作農業は、関連産業とあいまって農業生産及び地域経済上極めて大きなウェイトを占めている。また、水田は、食料の安定供給のみならず、洪水の防止、水資源の涵養、土壌浸食の防止等多面的かつ重要な機能を有している。
 我が国の稲作については、国内の需要動向に即し、全水田面積の三割近い厳しい生産調整が実施されているが、その中で生産性の向上や前述の多面的機能の発揮が図られている。
 米に関する国際的な状況については、各国において従前から自給的生産が行われていることから、その生産量に対する貿易量の割合が小さく、国際価格が変動しやすい等不安定な状況にある。また、ガット・ウルグァイ・ラウンド交渉の一環として、農産物貿易の非関税措置を関税化する旨の提案等がなされており、我が国の米についても海外からの市場開放圧力が高まってきている。

二について

 ダンケル貿易交渉委員会議長の提示した最終文書案の中の農業分野については、輸出補助金の取扱いと国境措置の取扱いがバランスを欠いており、特に、包括的関税化については困難な問題があると考えている。

三について

 いわゆる国会決議は、議決の形式で行われる衆議院又は参議院の意思表示であり、法律のように法的拘束力を持つものではないが、国会は国権の最高機関であることから、政府は、国会を構成する各議院の意思として示された決議の趣旨を尊重し、その実現に努力すべき政治的な責務を負うものと考える。
 政府は、ガット・ウルグァイ・ラウンド農業交渉において、国会決議についてこのような理解の下に、その趣旨を体し、米については国内産で自給するとの基本的な方針の下で交渉に臨んできたところである。

四について

 政府は、米については国会決議等の趣旨を体し、国内産で自給することを基本的な方針としてきているところである。
 第百二十三回国会における内閣総理大臣施政方針演説においても、農業については、各国ともそれぞれ困難な問題を抱えている中で、我が国の米についてはこれまでの基本的な方針の下、相互の協力による解決に向けて、最大限の努力を傾注していくことを述べているところである。

五について

 政府は、かねてから、米の需給については数量管理が必要であると考えており、関税化は受け入れ難い旨を主張しているところである。
 今後とも、米についてはこれまでの基本的な方針の下で対処していく考えである。

六の1について

 食糧管理制度については、国民の主食である米について政府が責任を持って管理することにより、生産者に対してはその再生産を確保し、消費者に対しては安定的にその供給責任を果たすことを制度の基本としているが、平成元年六月に農政審議会から報告された「今後の米政策及び米管理の方向」に沿って、適切な運営改善を図っているところである。

六の2について

 国民の主食である米については、作柄の変動等に対応した安定供給を図るという基本的な考え方に立って、適切な需給操作を図りつつ、政府及び民間において適正な水準の在庫を保有しているところである。

六の3について

 米の政府買入価格については、食糧管理法(昭和十七年法律第四十号)第三条第二項の規定に基づき、適正に決定しているところである。

六の4について

 財団法人自主流通米価格形成機構における入札取引については、自主流通米の適正かつ円滑な価格形成を促進するという観点から、関係者の理解と合意を得つつ、今後とも同機構において適切な運営が図られるよう必要な助言、指導を行っていくこととしている。

六の5について

 米の消費拡大については、米の需給均衡に資するとともに長期的に我が国の風土・資源に適した日本型食生活を維持し、広く定着させていくことを基本として、健康的な食生活の推進のための正しい知識の普及、米飯学校給食の計画的推進等の各種施策を講じているところである。

七について

 米問題については、現在行われているガット・ウルグァイ・ラウンド交渉の場で協議するとの方針について変更はない。

八について

 政府は、米については国会決議等の趣旨を体し、国内産で自給することを基本的な方針としてきており、この方針の下で関税化は受け入れ難いと主張しているところである。