質問主意書

第123回国会(常会)

質問主意書


質問第一九号

イラン軍機によるイラク領爆撃と国連安保理決議六七八に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成四年六月十八日

翫 正敏   


       参議院議長 長田 裕二 殿


   イラン軍機によるイラク領爆撃と国連安保理決議六七八に関する質問主意書

 本年四月五日にイラン空軍機が、イラク領内を爆撃した。周知の通り、イラクに対しては国連安保理決議六七八に基づくとする武力行使が行われており、これに関して私は「国連安全保障理事会決議六七八の効力に関する質問」(九一年二月一四日)において「今後、イラクに対するあらゆる武力行使が同決議に基づくものであるのか否かをどのように区別するのか」と指摘したが、政府の答弁(九一年三月八日)ではこの点について明言を避けている。
 同決議は、第二項において国連加盟国に「必要とされる総ての手段」(日本政府はこれに武力の使用が含まれるという見解をとっている)の使用を許可しており、さらに第二項に基づく活動に対して適切な支援をするよう全加盟国に要請している。同決議が今なお有効であるなら、同決議第二項に基づく武力行使に対して日本はこれに対して適切な支援を行う義務が現在も存在する。従って日本は、イランのイラク領域爆撃が同決議第二項に基づくものであるか、二国間の武力紛争に過ぎないのかを判断する必要がある。
 また日本は同決議が採択された当時(九〇年一一月二九日)は安保理理事国ではなかったが、本年一月一日に非常任理事国に就任したことにより、決議の有権的解釈を行い得る機関の一構成員になったゆえ、決議の解釈につき意見を表明する立場にある。
 よって政府の見解を明らかにするために以下質問する。

一 同決議は今なお有効なのか。また無効であるなら、それはいつの時点からか。

二 今回のイラン空軍機によるイラク領爆撃は、同決議第二項の「必要な総ての手段(all necessary means)」に該当するのか否か。またその根拠について明らかにされたい。

三 同決議が今なお有効であるなら、日本政府としては同決議の無効化に向けて何らかの努力をする意志があるのか。

  右質問する。