質問主意書

第123回国会(常会)

質問主意書


質問第一二号

公立の小中学校・幼稚園の教育充実に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成四年三月二十七日

一井 淳治   


       参議院議長 長田 裕二 殿


   公立の小中学校・幼稚園の教育充実に関する質問主意書

 我が国の未来を担う児童、生徒の健全な成長のために、教育の充実は極めて重要であるが、なお、多くの点においてその立遅れが目立っている。国においても、教育条件の整備、充実について一層の努力が必要であると考えるが、当面、早急に改善を行うべき次の事項について、政府の見解を求める。

一 公立の小中学校・幼稚園の施設整備について

1 学校は、教育を行う施設であるばかりでなく、文化の中心として、地域に強い影響を及ぼす施設であることを考慮するならば、校舎、体育館など公立文教施設についての文部省の補助基準はあまりにお粗末である。現在、補助基準の見直しに着手され、その成果に期待をしているが、永続性のある建物であるから、将来の文化水準にも合わせて、また地域で特色のある学校の設計が可能となるように、それに見合った基準面積、補助単価が設定されるべきであるが、どうか。
2 また、現在の公立の小中学校・幼稚園の施設には、クーラーは原則として助成対象とされておらず、カーテンも本工事費としての助成対象に含まれていない。高温多湿の我が国においては、近年、オフィスでも電車でも家庭でもクーラーは広く普及し、必須のものとなっている。他省庁の所管する建物では、いずれも、クーラーが設置されているところであり、少なくとも教員室、校長室、保健室、図書室には、クーラーの設置を標準とすべきではないか。また、夏の太陽の日射しをさえぎるカーテン等で建物と一体となる設備は、助成の対象とすべきではないか。
3 近年、建築費が高騰し、文部省の設定している補助単価は、現実とますます大きく乖離している。他方、建築確認申請手続費用、浄化装置設置認可手続費用、消費税(かつて補助単価のかさあげは行われてはいるけれども、補助単価自体が低い)など建築に当然伴う支出で補助基準外とされるものが少なくない。そのため、地方公共団体は超過負担のために財政を圧迫されている。従って、実際の建築費や現実に要する諸経費を十分調査の上、実勢に見合った補助基準、補助単価に改めるべきではないか。

二 複式学級の編成について

1 複式学級とする基準は、現在は、学年の組合せに関係なく一律に定められているが、複式学級の編成は、一・二年、三・四年、五・六年の組合せに限り、いわゆる変則複式学級(二・三年、四、・五年の組合せの複式学級)はなくすべきだと思うが、実態ほどうなっているか。
2 最近、複式学級における教科指導の方法として、A、B年度方式が多く採用されているため、変則複式が行われると、教科の一部を学習しない、あるいは二重に学習するという弊害が、学校や学級の統合・編成替え等に伴い、現実に少なからず起こっている。また、生活科(一・二年)、家庭科(五・六年)のように、複式学級の一方の学年しか学科がない場合、変則複式では授業が困難であり、また、音楽、体育等、学習の目標が、一・二年、五・六年でくくられている場合も、変則複式では学習の効果をあげがたいことになる。
 教職員定数の算定に当たっては、右に指摘したように、不合理な変則複式の学級編成としないように、必要な定数を措置すべきではないか。

三 へき地の学校の養護教諭必置について

 養護教諭の職務の重要性についての認識が一段と高まり、全校配置の必要性が強く叫ばれているところであるが、とりわけ医療機関の存しない地区において、養護教諭が重要であることは論議の必要もないところである。
 現在、医療機関の存しない市町村の学校には、教職員定数標準法上、養護教諭を必ず置くべく定数が決められているが、へき地の現実は、面積が広大でかつ交通は不便であり、しかも医療機関が存在しても、非常に高齢の医師であるか、医師が定住しないで特定の日に医療機関に出張してくる場合が大部分である。従って、医療機関が存しない地区であるか否かの基準は、市町村単位ではなく学校区単位に改め、無医学校区の学校には養護教諭を必ず置くように改善すべきではないか。

四 幼稚園の事務職員確保について

 幼稚園は、事務職員を置くことが義務付けられていないので、大多数の幼稚園では、事務職員あるいはこれにかわる者が置かれていない。そのため、教諭が、多量の事務を分担しているのが現状であり、また、授業中は、来客等と対応する人手もなく、教員室への緊急の電話も受ける人がいないなど、小学校との比較においても、幼稚園の運営は極めて困難であるのが実情である。よって、幼稚園に事務職員を必ず置くようにすべきではないか。

  右質問する。