質問主意書

第122回国会(臨時会)

答弁書


第百二十二回国会答弁書第一六号

内閣参質一二二第一六号

  平成四年一月二十四日

内閣総理大臣 宮澤 喜一   


       参議院議長 長田 裕二 殿

参議院議員小笠原貞子君外一名提出釧路湿原及び阿寒国立公園の保全対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員小笠原貞子君外一名提出釧路湿原及び阿寒国立公園の保全対策に関する質問に対する答弁書

一の1について

 現在のところ、国立公園区域外におけるゴルフ場開発により釧路湿原の植物の生態系やタンチョウが影響を受けているという事実は確認されていない。
 今後とも、北海道等関係地方公共団体とも連携を図りつつ、ゴルフ場等の開発による湿原生態系への影響の有無について、その把握に努めてまいりたい。

一の2について

 環境庁と農林水産省が実施している「湿原生態系保全のためのモニタリング手法及び農用地からの影響緩和方策の確立に関する研究」は、平成四年度を最終年度としており、現時点で新たに、御指摘の「ゴルフ場建設」の影響を加えることは考えていない。

一の3について

 自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号)及び鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律(大正七年法律第三十二号)においては、国立公園の区域等指定された地域外の地域における開発行為の規制を行うことはできないが、各種調査研究の結果、周辺地域の開発による釧路湿原への影響が確認された場合には、周辺地域を含めた対策の必要性について検討してまいりたい。

一の4について

 特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約(昭和五十五年条約第二十八号、略称ラムサール条約)締約国会議の開催に向けた対策としては、会議資料作成等の開催準備を進めるとともに、同条約に基づく国内の登録湿地の追加、アジア地域の同条約への未加盟国に対する加盟の働きかけを行っている。なお、釧路湿原に係る国立公園あるいは鳥獣保護区の区域等については、定期的に点検等を行っているところであり、平成元年四月に国設釧路湿原鳥獣保護区について区域の拡大を図るなど、自然環境や社会情勢の変化等により必要に応じ見直しを行っている。
 また、平成三年度及び四年度の二箇年で釧路湿原野生生物保護センターを整備し、タンチョウ等の野生生物の調査や保護事業を推進していくこととしている。

一の5について

 国立公園の管理を行う職員については、今後とも、業務の一層の効率化、省庁間配置転換の活用等を図りつつ、国立公園の管理要員の確保に努めてまいりたい。

二について

 国立公園の普通地域内におけるゴルフ場建設については、自然公園法上都道府県知事に届出を要することとされており、都道府県知事は、届出を要する行為をしようとする者又はした者に対して、その風景を保護するために必要な限度において、当該行為を禁止し、若しくは制限し、又は必要な措置を採るべき旨を命ずることができることとされているが、環境庁としては、平成二年六月に「国立公園普通地域におけるゴルフ場造成計画に対する指導指針」を策定し、この指針に基づき、普通地域の風景の保護を図るための適切な措置が講じられるよう都道府県を指導している。