質問主意書

第122回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一五号

カイロプラクティック取扱いに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三年十二月二十日

堀 利和   


       参議院議長 長田 裕二 殿


   カイロプラクティック取扱いに関する質問主意書

 平成三年六月二十八日付、厚生省医事課長通知によれば「カイロプラクティックは明確に脊椎原性疾患と診断された場合を除き、スラスト法のような矯正を行わなければ無免許、無届けで行ってよい」と読み取れる。であるとすれば、明らかに「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」及び「柔道整復師法」と法的均衡を失するものと思われる。そこで以下の点につき質問する。

一、あん摩マッサージ指圧、はり、きゆう(以下三療と略称)及び柔道整復は三年間学校において必要な知識、技能を修得した上で国家試験を受け、免許を得なければ業として行えないのに対し、なぜカイロプラクティックは無免許、無届けで行ってよいのか。

二、昭和三十五年の医業類似行為に関する最高裁の判決によれば、人体に有効で無害な行為であれば、無免許で行ってもよいとしている。しかし今回の通知の根拠となっている『「脊椎原性疾患の施術に関する医学的研究」に関する報告書』によればカイロプラクティックは人体に危害を与えるおそれのある療法であると認定したものと解釈せざるを得ない。脊椎原性疾患とスラスト法を除けば安全なものと決して言っていない。報告書では、カイロプラクティックの危険性を国民に広く知らしめるべきと言っているにもかかわらず、通知ではこの点、何ら触れていないのは何故か。

三、乏しい知識と技能でカイロプラクティックを行えば、国民の生命、身体に悪影響を及ぼすことが、大いに懸念されるのに対して、厚生省はどのように責任をとるのか。

四、カイロプラクティックは脊椎や骨盤に対し、徒手調整を行う施術である。このカイロプラクティックから脊椎原性疾患とスラスト法を除けば、あん摩マッサージ指圧とどこが異なることになるのか。

五、乏しい知識と技能のため、あん摩マッサージ指圧師の国家試験に受からない者が、カイロプラクティックの看板を出せば、営業してよいことにはならないか。そうであれば、これらの養成学校の存在すら、無意味なものとならないか。

六、カイロプラクティックをこのまま野放しにするなら十万人に近い三療業者の立場はどうなるのか。

  右質問する。