質問主意書

第122回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一四号

鉄資源のリサイクル促進等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三年十二月十九日

上田 耕一郎   


       参議院議長 長田 裕二 殿


   鉄資源のリサイクル促進等に関する質問主意書

 鉄スクラップ価格の暴落、電気炉メーカーによる鉄スクラップ引き取り抑制は、鉄資源のリサイクルに重大な危機をもたらしている。スクラップ回収業者は営業困難に直面し、金属加工業者は切粉の処理が滞り、鉄資源がゴミ化し、しかも逆有償によって自治体のゴミ行政、財政は重大な影響を受けている。
 こうした事態を放置すれば、リサイクルを支えてきた回収業者を転廃業に追いつめ、ゴミ問題を一層深刻化させる結果になる。これは、いわゆるリサイクル法(再生資源の利用の促進に関する法律)に逆行する事態である。
 地球環境・資源の保全、ゴミ問題解決のためにも、政府が、事態打開のために直ちに、必要な対策をとると同時に、鉄資源の恒常的なリサイクルシステムを確立するために制度上の整備を図ることが求められている。
 解決の促進を求め以下、質問する。

一、政府は、鉄スクラップをめぐる現在の事態と今後の見通し、ゴミ問題への影響など、どのように認識しているのか。

二、現在の事態は、建設資材の需要後退に直接的原因があるが、同時に、みずからの利益確保のために、引き取り量抑制、低価格を回収業者に押しつける電気炉メーカー、大手問屋の対応にも原因がある。しかも、問屋によって、鉄スクラップ買い入れ価格に大きな違いがある。
 既に私は通産省との交渉の際に、電気炉メーカー、問屋、回収業者に対する実態調査を要求してきたが、その結果を明らかにされたい。

三、特に電気炉メーカーは、鉄スクラップの納入価格を極端に低く抑えながら、生産調整によって製品価格は維持し、利潤を確保しようとしている。
 こうした電気炉メーカーに対して、日本鉄源協会での対応任せとせず、適切な引き取り価格と引き取り量を維持するよう、指導すべきと考えるがどうか。

四、回収業者は、これまでも鉄資源のリサイクルを支え、重要な役割を果たしてきたし、これからもその役割はますます重要となっていく。しかし、今回の事態に直面して転廃業が広がろうとしており、これはリサイクルシステムの崩壊に通じるものである。
 現在の窮状から回収業者を救うために、どのような対策をとろうとしているのか。

五、現在の事態は決して一過性とは言いがたい。今後の鉄スクラップ発生量と、需要の長期的見通しをどのように試算しているのか。

六、鉄スクラップの過剰傾向が今後とも進むことが予想されるなかで、どのように供給に見合った再資源化のリサイクルシステムを確立しようとしているのか。

七、需給のバランスを保つ上で、鉄クズ、銑鉄の輸入の抑制を検討すべきと考えるがどうか。

八、鉄スクラップの供給過多は、高炉で一定量の鉄スクラップを使用することで十分解消できる。高炉メーカーに対して鉄スクラップ使用を働きかけるべきと考えるがどうか。

九、今こそ、再生資源の利用の促進に関する法律がいかされなければならないと考える。鉄スクラップの供給に見合うリサイクルを促進するために、法の「特定業種」に「製鉄業」を指定し、市中の鉄スクラップ使用比率を示すべきと考えるがどうか。

  右質問する。