質問主意書

第121回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一六号

廃棄物減量、リサイクル促進等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三年十月三日

上田 耕一郎   


       参議院議長 土屋 義彦 殿


   廃棄物減量、リサイクル促進等に関する質問主意書

 最近の廃棄物の増加は、自治体の処理能力を超える事態となっており、とりわけ政府が一極集中策を採ってきた東京と首都圏では、都市機能の存立にかかわる問題となっている。さらに、廃棄物の増加は、地球資源の保全、地球環境にも重大な影響を及ぼす問題となっている。
 私は、これまで政府に廃棄物抑制とリサイクル促進を求める質問主意書を三回にわたって提出してきたが、その後の事態の急激な深刻化は、政府が廃棄物減量、リサイクル促進のための施策を抜本的に強化することが求められていると考え、以下質問する。

一、現在の廃棄物排出量が続くなら、首都圏の最終処分場の飽和は時間の問題となってくる。政府は、首都圏での廃棄物増加と処理能力の見通しをどのように認識しているのか。

二、いわゆるゴミ問題解決には、廃棄物排出量の思い切った削減なしには解決できないと考えるが、政府として中長期的な廃棄物発生量の抑制目標を持っているのか。持っているならその数値を明らかにされたい。持っていないなら、その理由を明らかにされたい。

三、廃棄物削減の上で、近年急増しているオフィスから排出される紙ゴミの抑制が重要となっている。私の行った各企業本社への調査でも、五年間に排出量が二倍も増えた企業さえある一方で、具体的な抑制目標を持った企業は二割程度にとどまっている。
 昨年の生活環境審議会の答申に沿って、一定規模のオフィスの紙ゴミを産業廃棄物と指定すべきと考えるがどうか。東京都などが一定規模以上のオフィスに削減計画の提出を義務づける措置を採り始めているが、政府としても何らかの緊急措置を採るべきと考えるがどうか。
 また、回収促進とともに、再生紙利用促進のための施策を強化すべきと考えるがどうか。

四、近年急増している一般廃棄物を組成的にみれば、トレイなどのプラスチック容器の増加がある。私の調査でも、ある大手スーパーのトレイ年間排出量は約四億枚になる。
 こうした容器によるゴミ抑制のために、一定の規模を持つスーパーに対しては、使用の抑制とともに、回収、再資源化を義務づけるべきと考えるがどうか。

五、飲料容器では、ペット容器の抑制、統一規格びん拡大による、びんの再利用の促進が必要となっていると考えるがどうか。
 以前から、問題となってきた一升びんについては、私の調査でも、リターナブルびん使用比率は約四割と低く、使用比率向上を酒造メーカーに働きかけるべきと考えるがどうか。

六、今国会で事業者の責任を盛り込んだ廃棄物処理法改正案が成立したが、ドイツが包装、容器の企業回収責任を明確にした「包装廃棄物に関する政令」を制定したように、さらに企業による回収責任を明確にした法制度を検討すべきと考えるがどうか。

七、リサイクルを支えてきた回収業者は、もともと薄利だった上に、地価の高騰、後継者問題などから、廃業が進行している。政府としては、その実態をどう認識しているか。
 回収業者の営業を守ることは、リサイクルを促進する上で不可欠である。手数料、回収価格などの引き上げ、優遇税制、後継者対策、古紙、くず鉄などの輸入規制など総合的な施策を検討すべきと考えるがどうか。

  右質問する。