質問主意書

第121回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二号

国連憲章における個別的及び集団的自衛権と集団的安全保障に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三年八月五日

翫 正敏   


       参議院議長 土屋 義彦 殿


   国連憲章における個別的及び集団的自衛権と集団的安全保障に関する質問主意書

 国連憲章第五一条は、「安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない」と定めている。即ち国連憲章第四一条又は第四二条に基づく決定が下される以前(言い換えれば集団的安全保障が機能する以前)においてのみ個別的又は集団的自衛権の行使が認められるのであり、裏を返せば集団的安全保障が機能し始めた段階において個別的及び集団的自衛権を行使する権利は消滅するものと読み取れる。しかるに政府は第一二〇回国会における「湾岸危機に伴う多国籍軍のサウジ駐留と国連安保理決議との関連に関する質問」に対する答弁書(九一年五月二一日)で、「サウディ・アラビアから米国に対し要請があったということと、いわゆる『多国籍軍』が国連安全保障理事会決議六六〇及び六六一の実効性の確保のための役割を果しているということは、矛盾するものではない」としている。政府の見解に立てば、集団的安全保障と個別的及び集団的自衛権の行使は同時平行的に機能することとなり、国連憲章上からも極めて疑念が持たれるものである。よって以下質問する。

一 政府は集団的安全保障と個別的及び集団的自衛権の行使は同時平行的に機能し得ると解しているのか。もしそうであるのなら、その根拠について明らかにされたい。

二 いわゆる「湾岸危機」及び「湾岸戦争」において、国連憲章第五一条で言う「必要な措置」が採られたのはいつか。

  右質問する。