質問主意書

第120回国会(常会)

答弁書


答弁書第一五号

内閣参質一二〇第一五号

  平成三年三月八日

内閣総理大臣 海部 俊樹   


       参議院議長 土屋 義彦 殿

参議院議員竹村泰子君提出廃棄物問題の抜本的解決と環境保全に適合したリサイクル法の整備に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員竹村泰子君提出廃棄物問題の抜本的解決と環境保全に適合したリサイクル法の整備に関する質問に対する答弁書

一について

 通商産業省としては、平成二年十二月の産業構造審議会答申「今後の廃棄物処理・再資源化対策のあり方」を踏まえて、再生資源の利用の状況等について把握に努めるとともに、その利用の促進の方策等について検討してきたところである。
 また、環境庁としては、大量消費・大量廃棄によって有限な地球の環境資源を損ないつつある現在の経済社会を見直し、環境保全型の社会づくりを進める方策等について検討してきたところである。
 かかる両省庁の検討等を踏まえ、主要な資源の大部分を輸入に依存している我が国において、近年の国民経済の発展に伴い、再生資源の発生量が増加し、その相当部分が利用されずに廃棄されている状況にかんがみ、資源の有効な利用の確保を図るとともに、廃棄物の発生の抑制及び環境の保全に資するため、再生資源の利用を総合的に推進する必要があると考え、今般政府として再生資源の利用の促進に関する法律案(以下「再生資源利用促進法案」という。)を提出した次第である。
 さらに、厚生省としては、平成二年十二月の生活環境審議会答申「今後の廃棄物対策の在り方について」を踏まえて、廃棄物処理制度の基本的見直しについて検討してきたところである。
 その結果、最近における廃棄物の発生量の増大及びその質の多様化等に伴い、廃棄物の適正な処理が困難となっている状況にかんがみ、廃棄物の排出の抑制及び廃棄物の適正な処理(再生を含む。)を確保するため、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号。以下「廃棄物処理法」という。)の抜本改正が必要と考え、今般政府として廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律案(以下「廃棄物処理法等改正法案」という。)の提出を予定しているところである。

二の(一)について

 再生資源の利用は、従来から大気汚染防止法(昭和四十三年法律第九十七号)等の規制の下で行われてきたところである。再生資源利用促進法案の対象となる場合でも、従前と同様に他法令による規制を受けるものであり、同法案において環境保全に関する規制を新たに設ける必要はないものと考える。

二の(二)について

 再生資源の利用は、資源の有効な利用を通じて環境への負荷を軽減する等環境の保全に資するものである。
 また、通商産業大臣等事業所管大臣は、その設置法に定められた所掌事務の範囲内において環境の保全についての事務を行い得るものである。

三について

 再生資源利用促進法案においては、事業者は再生資源を利用するよう努めるとともに、その事業に係る製品等を再生資源として利用することを促進するよう努めなければならないこととしている。このため、主務大臣が「事業者の判断の基準となるべき事項」を策定し、事業者の努力のよりどころとすることとしている。この策定に当たっては、専門的かつ技術的な知見が要求されることから、各業種又は製品の生産、流通、消費等の実態に精通した各事業所管大臣がこれを定めることが適切であると判断したものである。

四の(一)について

 廃棄物処理法等改正法案においては、廃棄物の適正処理を推進し、生活環境の保全を図る観点から、廃棄物の排出抑制、再生及び中間処理による減量を総合的に実施することとしており、環境保全にも配慮した適正な処理が行われることとなる。

四の(二)について

 廃棄物処理法等改正法案においては、市町村の一般廃棄物処理計画に定める事項を明確にし、最終処分場の確保の状況等にかかわらず、廃棄物の排出抑制、分別収集及び再生を積極的に進めることとしており、環境保全にも配慮した適正な処理が行われることとなる。

五について

 再生資源利用促進法案においては、再生資源の利用の促進に関する事業者の責務について定めるとともに、国による科学技術の振興、国民の理解を深めるための活動等を通じて、社会全体の再生資源の利用を促進することとしている。
 また、廃棄物処理法等改正法案においては、廃棄物の再生を処理の一形態として、明確化し、廃棄物減量等推進員を設置すること等により国民及び事業者に対する啓発活動を活発にするとともに、廃棄物再生事業者の登録制度を設け、市町村は、登録された事業者に一般廃棄物の再生に関する協力を求めることができることとしている。

六について

 再生資源利用促進法案において、環境庁長官は、再生資源の利用の促進に関する基本方針の策定、公表及び改定に関し、主務大臣となるものである。
 また、廃棄物処理法は、廃棄物の適正な処理による生活環境の保全を目的としており、厚生省は、環境保全にも配慮して同法を適切に運用しているところである。環境庁は、同法においては従来から廃棄物の最終処分に関する基準の設定に関する事務及び厚生省とともに最終処分場に関する基準の設定に関する事務を処理しているところである。