質問主意書

第120回国会(常会)

答弁書


答弁書第一四号

内閣参質一二〇第一四号

  平成三年三月八日

内閣総理大臣 海部 俊樹   


       参議院議長 土屋 義彦 殿

参議院議員翫正敏君提出国連安全保障理事会決議六七八の効力に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員翫正敏君提出国連安全保障理事会決議六七八の効力に関する質問に対する答弁書

一の1から5まで、8、10及び12について

 中立法規を含むいわゆる戦時国際法は、戦争が政策遂行の一つの手段として認められていた時代に発達してきたものである。国際連合憲章の下においては、同憲章の下において認められるものを別にすれば、武力の行使自体が禁止されており、この結果、伝統的な意味での戦争というものは認められなくなった。国際法におけるこのような戦争観の変化の結果、戦時国際法のうち、戦争開始の手続、中立国の義務、戦闘行為を適法に行い得る地域とそれ以外の地域の区別等、戦争が違法でないことを前提とした国際法規がそのまま適用される余地はなくなっている。他方、従来の戦時国際法のうち、害敵手段の制限や戦争犠牲者の保護等に係る国際法規は、国際連合憲章の下でも、武力衝突が生じた場合には適用されるものと解される。

一の6及び9について

 国際連合安全保障理事会(以下「安保理」という。)決議六七八によりクウェイト政府に協力している国際連合加盟国(以下「加盟国」という。)に認められている武力の行使は、安保理決議六六〇及び累次の安保理関連諸決議を堅持かつ実施し、当該地域における国際の平和及び安全を回復するために必要と認められるものであり、そのようなものである限り、クウェイト領域内に限定されるものではなく、イラク領域内での武力の行使も排除されていないものと解される。

一の7について

 安保理決議六七八主文第三項は、同決議主文第二項を履行するために採られた行動に対し、適切な支援を与えることをすべての国家に対し要請しており、加盟国は、安保理決議六七八に基づいて採られている行動に対して、可能な範囲内で適切な支援を行う一般的義務を負っている。

一の11について

 仮定に基づく御質問に対する答弁は差し控えたい。

二について

 御質問が安保理の機関としての解釈に関するものであるならば、現在までのところ、安保理としての見解は特に示されていない。