質問主意書

第120回国会(常会)

質問主意書


質問第二八号

「アジア・太平洋地域の戦略的枠組み」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三年四月二十三日

翫 正敏   


       参議院議長 土屋 義彦 殿


   「アジア・太平洋地域の戦略的枠組み」に関する質問主意書

 私が先に提出した「『セレクテッド・コントロール・センターズ』に関する質問」に対する政府答弁書(九一年・三月八日)において、「selected control centers」に当たるものとしては府中通信施設の追加提供だけしか政府は承知していないとしている。
 政府答弁によれば、日本政府は自らが関知しない事項について米国政府に同意したことになる。これは正に主権の放棄以外の何物でもない。
 また政府の答弁が正しいとしても同文書は、九〇年度国防授権法附帯条項に基づき米国議会に提出された公式文書であり、米国議会議員の調査立法活動に資するものである。同文書を読んだ米国議会議員が、日本が複数の「selected control centers」の追加提供に同意しながら、未だに府中通信施設の追加提供の一つだけしか応じていないというような誤解を生む可能性も否定できない。
 今日、米国議会からのジャパン・バッシングの多くは、ささいな誤解に基づくものであり、事前に対処していれば受けずにすむ非難ばかりなのである。また同文書のような米国政府の公式文書において、日本政府のあずかり知らぬ記述が放置されたままであることは、日米間の信頼関係を傷つける原因となり、さらには我が国の国益を損なうことにもなりかねず、憂慮に耐えかねない。
 よって、日本政府は責任を持って、複数あるselected control centerすべてについて把握すべきであり、この点につき以下質問する。

一 複数あるselected control centerが何であるか、日本政府は米国政府に対して照会したのか。照会したのであれば、その回答について明らかにされたい。

二 一について明らかにできないのであれば、その具体的理由について明らかにされたい。

三 まだ照会していないのであれば、これから照会する意志があるか。もし意志がないのであるならば、その具体的理由について明らかにされたい。

四 仮に政府答弁が正しいのであるならば、同文書に記載された「selected control centers」は、「a selected control center」の誤りとなるはずである。
よって政府は、公式のルートを通じて米国政府に対して同文書の誤りの訂正を申し入れるべきであると思うが、政府にその意志があるか明らかにされたい。また政府にその意志がないのであるなら、その理由を明らかにされたい。

  右質問する。