質問主意書

第120回国会(常会)

質問主意書


質問第二三号

海上自衛隊のリムパック参加と日本の海上防衛に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三年三月八日

翫 正敏   


       参議院議長 土屋 義彦 殿


   海上自衛隊のリムパック参加と日本の海上防衛に関する質問主意書

 「防衛計画の大綱」は護衛艦隊の規模を四個護衛隊群としているが、これは「常時少なくとも一個護衛艦隊群を即応の態勢で維持し得る」体制を確保するため、艦艇の運用面を考慮したためである。周知の通り、艦艇の定期修理や、一朝一夕にはならない部隊の訓練練度の向上を考慮して、海上自衛隊では周期訓練方式を採用している。これにより、常時少なくとも一個群が群レベルのオペレーションが可能な高練度部隊となり、即応の体制を維持することができるのである。
 また同時にリムパックのような総合演習に参加できる部隊も、こうした高練度部隊である。
 海上自衛隊はリムパック80より参加しているが、年々規模を拡大して、リムパック86より一個護衛隊群規模を派遣している。
 日本において、これらリムパック参加期間中の一カ月半以上にわたって即応態勢を維持し得る高練度部隊一個群が不在であったという事実は、我が国海上防衛上極めて由々しき事態であったと言わざるを得ず、政府の見解を質すため以下質問する。

一 リムパック86について

 リムパック86参加護衛艦八隻のうち三隻(「しらゆき」「いそゆき」「はるゆき」)は第一護衛隊群所属であり、残り五隻(「くらま」「みねゆき」「はまゆき」「たちかぜ」「さわかぜ」)は第二護衛隊群所属であり、日本に残された両護衛隊群は、それぞれ一個護衛隊群としての作戦行動は不可能であったと考えられる。

1 リムパック86期間中、日本においては「即応の態勢を維持し得る」高練度状況の護衛隊群が存在したのか。存在したのであれば、いずれの護衛隊群であったか明らかにされたい。またその他の護衛隊群の練度状況についても明らかにされたい。
2 もし「即応の態勢を維持し得る」護衛隊群が存在しなかったのであるなら、政府はこの期間中、一個護衛隊群を必要とするような海上における侵略等の事態が発生しないと考えたのか。そうであるなら、その根拠について明らかにされたい。

二 リムパック88について

 リムパック88参加護衛艦八隻のうち六隻(「しらね」「はつゆき」「しらゆき」「いそゆき」「はるゆき」「あさかぜ」)は第一護衛隊群に所属しており、リムパック88参加期間中、実質的には第一護衛隊群は存在しなかったことになる。即ちこの期間中、日本には第二、三、四護衛隊群の計三個護衛隊群しか存在しなかったことになる。

1 リムパック88期間中、日本には「即応の態勢を維持し得る」高練度状況の護衛隊群が存在したのか。存在したのであれば、いずれの護衛隊群であったか明らかにされたい。またその他の護衛隊群の練度状況についても明らかにされたい。
2 もし「即応の態勢を維持し得る」護衛隊群が存在しなかったのであるなら、政府はこの期間中、一個護衛隊群を必要とするような海上における侵略等の事態が発生しないと考えたのか。そうであるなら、その根拠について明らかにされたい。

三 リムパック90について

 リムパック90参加護衛艦八隻のうち六隻(「はるな」「みねゆき」「はまゆき」「あさゆき」「しまゆき」「しまかぜ」)は第三護衛隊群に所属しており、リムパック90の期間中、実質的には第三護衛隊群は存在しなかったことになる。即ちこの期間中、日本には第一、二、四護衛隊群の計三個護衛隊群しか存在しなかったことになる。

1 リムパック90期間中、日本には「即応の態勢を維持し得る」高練度状況の護衛隊群が存在したのか。存在したのであれば、いずれの護衛隊群であったか明らかにされたい。またその他の護衛隊群の練度状況についても明らかにされたい。
2 もし「即応の態勢を維持し得る」護衛隊群が存在しなかったのであるなら、政府はこの期間中、一個護衛隊群を必要とするような海上における侵略等の事態が発生しないと考えたのか。そうであるなら、その根拠について明らかにされたい。

四 今後リムパックに参加する際、即応の態勢の護衛隊群が二個以上存在しなかった場合、一個護衛隊群もの規模の派遣は政府は当然取り止めるか。

  右質問する。