質問主意書

第120回国会(常会)

質問主意書


質問第二一号

九一~九五年度中期防衛力整備計画と防衛諸計画との関連に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三年三月八日

翫 正敏   


       参議院議長 土屋 義彦 殿


   九一~九五年度中期防衛力整備計画と防衛諸計画との関連に関する質問主意書

 防衛庁においては、将来を見通した計画的な防衛力の整備のため、またその具体的整備内容を決定する安全保障会議の審議に資するために、従来から「防衛諸計画の作成等に関する訓令」(昭和五二年防衛庁訓令第八号)を定め、「統合長期防衛見積り」「統合中期防衛見積り」「中期能力見積り」を作成している。
 これらの見積りが、九一~九五年度中期防衛力整備計画(以下「新中期防」)とどのように関連しているか、以下質問したい。もとよりこれらの見積りが防衛秘密の対象であることは十分承知の上だが、その概要については「できるだけ防衛白書その他を通じて公表し、国民の理解と協力を高めるための資とする」(「防衛諸計画訓令の概要等について」防衛局防衛課『防衛アンテナ』七七年五月)ゆえに、政府の明確な答弁を期待する。

一 統合中期防衛見積りについて

1 前記訓令によれば、同見積りは中期防衛力整備計画の作成に資することを目的としているが、新中期防の策定に際して実際に利用されたのか。
2 実際に利用されたのであれば、それは安全保障会議の審議においてか。もしそうであるなら、いつ開催された安全保障会議においてか。
3 安全保障会議の審議以外で利用されたのであれば、それはいかなる場においてであったか具体的に明らかにされたい。
4 新中期防の策定に利用された同見積りは、いつ作成されたのか。また作成後に修正が加えられている場合には、修正された時期も一緒に明らかにされたい。
5 もし同見積りが新中期防の作成に際して利用されていないなら、その理由を明らかにされたい。

二 統合長期防衛見積りについて

1 新中期防の策定に利用された統合中期防衛見積りの参考とされた統合長期防衛見積りはいつ作成されたのか。また作成後修正が加えられた場合には、修正された時期も一緒に明らかにされたい。
2 統合長期防衛見積りは、新中期防に関する安全保障会議の審議において利用されたのか。
 もし利用されたのであるなら、いつ開催された安全保障会議においてか。
3 安全保障会議の審議以外で利用されたのであれば、それはいかなる場においてであったか具体的に明らかにされたい。
4 もし同見積りが新中期防の策定に際して利用されていないなら、その理由を明らかにされたい。

三 中期能力見積りについて

1 前記訓令によれば、同見積りは中期防衛力整備計画の策定に資することを目的としているが、同見積りは新中期防の策定において実際に利用されたのか。
2 実際に利用されたのであれば、それは安全保障会議の審議においてか。もしそうであるなら、いつ開催された安全保障会議においてか。
3 安全保障会議の審議以外で利用されたのであれば、それはいかなる場においてであったか具体的に明らかにされたい。
4 もし同見積りが新中期防の策定に際して利用されていないなら、その理由を明らかにされたい。

四 新中期防における原案について

 現行中期防は、防衛庁が五九中業の原案を報告した八五年八月七日の国防会議において政府計画としての中期防衛力整備計画への格上げが決定された。はからずも、防衛庁が作成した五九中業が中期防の原案となった訳である。そこで新中期防に関しても、

1 たたき台となる計画の原案を防衛庁が作成したのか否か、
2 防衛庁が作成したのであれば、作成に関しての長官指示が出されたのはいつか、
3 防衛庁以外であればどこが作成したのか、について明らかにされたい。

五 新中期防と防衛計画の大綱との関係について

 新中期防は、第一~四次防衛力整備計画と同様の一定期間を限った防衛力整備計画である。
 しかしながら政府は防衛計画の大綱を策定して以来、防衛力整備計画には単年度方式を採用してきた。その理由として政府は、「『防衛計画の大綱』によって、今後の防衛力整備の目標が明確に示されており、従来と異なって防衛力整備計画により目標を示す必要がなくなったことなど」(「中期業務見積り(昭和五五年度~昭和五九年度)について」防衛庁『防衛アンテナ』七九年九月)を挙げている。
 新中期防において政府が一~四次防と同様の一定期間を限った方式を採用したのは、防衛計画の大綱に変更が加えられていない現時点においては、前掲文書において防衛庁が表明した見解と極めて矛盾する。この点につき政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。