質問主意書

第120回国会(常会)

質問主意書


質問第一七号

神奈川県横須賀市の福祉関連施設に隣接してのごみ埋立場建設に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三年二月二十日

下村 泰   


       参議院議長 土屋 義彦 殿


   神奈川県横須賀市の福祉関連施設に隣接してのごみ埋立場建設に関する質問主意書

 三浦半島の東京湾側の野比海岸に面して、パシフィック・ホスピタル(内科老人病院)、横須賀市立福祉援護センター(精神薄弱者授産施設)、神奈川県横須賀第一、第二老人ホーム(養護老人ホーム、特別養護老人ホーム)、国立療養所久里浜病院(精神科、アルコール依存症病院)、国立久里浜養護学校(重度・重複障害児対象幼稚部及び小学部)、国立特殊教育総合研究所(障害児の教育の実際的研究、障害児の教育相談及び現職教員の研修施設)の福祉関連諸施設が密集している。この隣接地に横須賀市は、一般廃棄物最終処分場(ごみ埋立て地)を建設しようと計画している。この計画について昨年十一月十、十一、十八日に開かれた公聴会において、八十九人の公述人が、すべてこの計画に反対の意見を述べた。これは、医療、福祉政策における横須賀市の行政姿勢の誤りを指摘するものであった。
 横須賀市の計画は、明らかに障害者・病者等の社会的弱者を無視しているものと言える。弱者とごみを同一視するに等しい施策を強行しようとしている横須賀市の行政姿勢を、国としても早急に是正させる指導が必要である。単に横須賀市だけの問題として看過すべきではないとの考えから、以下質問する。

一 障害者・病者の医療機関、社会福祉施設、教育、研究機関等に隣接、近接させて廃棄物処分場を立地することは、障害者等に対する社会的差別又は社会的阻害要因の除去という観点からみて、これに著しく反していると思うが、政府はどう考えているのか。

二 障害者・病者の医療機関、社会福祉施設、教育機関等にとって、障害者・病者の医療、教育、援護のためにも好ましい自然環境を保全する必要があるが、これらの施設、機関等に隣接する谷の戸にごみ埋立て場を建設することについて、環境保全という観点からみて政府はどう考えているのか。

三 重度・重複障害児を対象としている養護学校及び心身障害児の教育相談、現職教員の研修、特殊教育の実際的研究を行う機関に隣接して、廃棄物処分場を立地することについて、好ましい教育と研究の環境保持という観点からみて、政府はどう考えているのか。

四 養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、精神薄弱者授産施設、精神薄弱者更生施設等の社会福祉施設に近接して、廃棄物処分場を立地することについて、好ましい養護援護環境の保持という観点からみて、政府はどう考えているのか。

五 精神科、アルコール依存症等の患者を治療する療養所に隣接して、又は老人内科病院に近接して、廃棄物処分場を立地することについて、好ましい療養、医療環境の保持という観点からみて、政府はどう考えているのか。

  右質問する。