質問主意書

第120回国会(常会)

質問主意書


質問第一四号

国連安全保障理事会決議六七八の効力に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三年二月十四日

翫 正敏   


       参議院議長 土屋 義彦 殿


   国連安全保障理事会決議六七八の効力に関する質問主意書

 日本政府は、国連安全保障理事会決議六七八がイラクに対する武力行使を容認したものだとの解釈をとっているようだが、仮にその解釈が正しいとしても、それから派生する効力に関しては様々な問題が生じる。よって政府の見解を明らかにするために、以下質問する。

一 以下について政府の見解を明らかにされたい。

1 同決議に基づいて国連加盟諸国が参戦する際には、イラクに対して開戦宣言及び最後通牒を発しなければならないのか。
2 同決議に従って多国籍軍はイラクに対する武力攻撃を行っているが、これに対して日本を含む国連加盟諸国は戦時中立を主張できるのか否か。また日本政府は戦時中立を主張する意志があるのか。
3 2に関して国連非加盟諸国は戦時中立を主張できるのか。
4 国連加盟諸国が戦時中立を主張する場合、日本政府はこれを認めるのか。
5 国連非加盟諸国が戦時中立を主張する場合、日本政府はこれを認めるのか。
6 武力行使の対象は、クウェートを占領しているイラク軍に対してだけなのか、イラク本土もその対象に含まれるのか。
7 同決議によれば、国連加盟諸国は全て多国籍軍に対して協力する義務があるのか否か。
8 国際法及び慣行で認められた交戦国の諸権利は、イラク及び「多国籍軍」の双方に対して認められるのか。あるいはいずれか一方に対してのみ認められるのであれば、それはどちらの方か。
9 今後、イラクに対するあらゆる武力行使が同決議に基づくものであるのか否かをどのように区別するのか。
10 現在アメリカ合衆国が同決議に従ってイラクに対して武力行使を行っているが、日本もその「交戦地域」に含まれるのか。
11 イスラエルが、今後イラクに対して武力行使を行った場合、日本政府はこれを同決議に基づくものと認めるのか否か。
12 現在、イランは湾岸戦争に対して中立的な態度をとっているが、日本政府はイランを戦時中立と認識しているのか。あるいはこのイランの態度を多国籍軍への非協力と認識しているのか。

二 一の1~9に関して安保理の解釈は示されているのか。示されているのなら、その解釈の内容及び示された時期についてそれぞれ明らかにされたい。

  右質問する。