第120回国会(常会)
質問第四号
時効期間を経過した過誤徴収にかかる固定資産税の返還に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成二年十二月十四日 一井 淳治
時効期間を経過した過誤徴収にかかる固定資産税の返還に関する質問主意書 市町村の賦課徴収する固定資産税については、納税通知の通知内容が土地家屋の評価総額と課税総額のみを記載するのが通例であること、課税台帳等の作成変更に当たって担当職員が記載ミスを行うことがあること、課税台帳の縦覧期間内に縦覧する人はきわめてわずかであること、地方税法四〇八条の実地調査が完全に実施し難いこと、等の事情から、市町村が課税ミスを行い、そのため、市町村民の知らない間に、相当長期間にわたり、かなり高額の固定資産税を過誤徴収する事態が各地で発生している。そして、市町村は、時効期間の五年間分の過誤徴収税額の返還はするが、五年を超えた期間に対応する金額については返還しないため、各地で苦情があいつぎ、しかもその件数が少なくないため、世論の批判を受け、国民の課税制度への信頼をゆるがせており、自治省及び関係市町村の早急・適切な対応が、強く期待されている。
一 奥田敬和自治大臣は、この問題について、平成二年五月二九日、参議院予算委員会において、住民の感情にも答えるという意味で「検討させます。」と答弁している。この答弁は、前後の事情から、取りすぎの税の返還などを検討すると解される(東京新聞五月二九日夕刊、税務経理六月五日付一四頁)が、この検討の結果はどうなのか、明らかにされたい。 二 五年を超える過誤徴収税額につき、関係市町村が、その判断で、事実関係を充分調査の上、当該事案に則した適切な返還の処置をとった場合、自治省は、これに対し是正を勧告等されないものとうかがってよいか。自治省は、各自治体の判断にまかせるのかどうか。
三 他の税法とちがい、固定資産税については、納税義務者の知らない間に、市町村の側の一方的ミスにより、相当額の過誤徴収を継続し、時効期間の五年を超えた後に発見される事案が今後も少なからず発生することが予想される。自治省において、是正の対策の努力をされていることは理解するが、それでもなお、過誤徴収をなくすることは不可能である。又土地高騰に伴い、その金額も、今後高額となることが予想される。
四 自治省は、市町村が、納税義務者に対し、土地家屋の個別明細、個別評価額、税額等を通知するように、市町村に対し、より一層積極的に指導すべきであるがどうか。 右質問する。 |