質問主意書

第118回国会(特別会)

答弁書


答弁書第八号

内閣参質一一八第八号

  平成二年七月六日

内閣総理大臣 海部 俊樹   


       参議院議長 土屋 義彦 殿

参議院議員上田耕一郎君提出都市高速道路中央環状新宿線の建設事業及び環状六号線の拡幅工事に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員上田耕一郎君提出都市高速道路中央環状新宿線の建設事業及び環状六号線の拡幅工事に関する質問に対する答弁書

一の1について

 御指摘の構造検討区間については、現在、東京都が設置した「豊島区に係る都市高速道路中央環状新宿線の地下化技術検討委員会」(以下「委員会」という。)においてその構造等を検討中であり、いまだ結論を得るに至っていないと聞いている。

一の2について

 御指摘の構造検討区間については、委員会の結論が得られ次第、新たな事業として提案される予定と聞いており、「都市高速道路中央環状新宿線(目黒区青葉台~豊島区南長崎間)建設事業」(以下「本事業」という。)についての所要の手続を進めることは妥当と考える。

二について

 御指摘の環状六号線の拡幅事業については、「建設省所管事業に係る環境影響評価の実施について(昭和六十年四月一日建設事務次官通知)」(以下「事務次官通知」という。)、「都市計画における環境影響評価の実施について(昭和六十年六月六日建設省都市局長通知)」(以下「局長通知」という。)及び「東京都環境影響評価条例(昭和五十五年十月二十日東京都条例第九十六号)」(以下「条例」という。)に基づく環境影響評価を実施しなければならない事業には当たらない。
 環境影響評価は、国の環境影響評価実施要綱、各地方公共団体の環境影響評価条例等に定めるところに従って行うべきものと考える。

三について

 本事業に係る交通量予測については、東京都において適切な方法により実施したものと聞いている。

四の1について

 東京都の区域のうち、特別区、武蔵野市、三鷹市、調布市、保谷市及び狛江市の区域における昭和六十年度以降各年度の窒素酸化物の総排出量の実績は把握していないが、環境庁においては、昭和六十年度について五万二千七百トンと推計している。また、平成二年度の窒素酸化物の総排出量の見込みは推計していないが、窒素酸化物の排出量を削減するため各種の対策を講じているところである。

四の2について

 二酸化窒素に係る環境基準について、平成二年度の達成状況を予測することはできないが、窒素酸化物による大気汚染は厳しい状況にあると認識しており、対策を一層推進することにより、できる限り早期に環境基準の達成を図っていく所存である。

四の3及び4について

 環境影響評価書のバックグランド濃度は、平成二年六月七日に東京都知事が作成した本事業に係る「審査意見書」における「大気汚染の状況の推移等を考慮し、推定すること」との意見に基づき、窒素酸化物排出量についての最新の資料である「窒素酸化物対策の新たな中期展望(昭和六十三年十二月二十三日環境庁大気保全局策定)」及び「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(平成元年十二月二十二日中央公害対策審議会答申)」を用いて推定すると聞いている。本事業に係る環境影響評価の手続については、事務次官通知、局長通知及び条例により実施しているものであり、妥当なものと考えている。

四の5について

 御指摘の変換式は、東京都内に設置された自動車排出ガス測定局の測定結果を基に、回帰分析により適切に求めたものであると聞いている。

四の6から9までについて

 平成十二年の二酸化窒素濃度の予測値は、インターチェンジ部における予測地点の一箇所で環境基準を上回るが、環境保全のための措置を強化することにより、環境基準を下回る見込みであると聞いている。

四の10について

 御指摘の路外換気塔については、東京都において路外に設置する計画で都市計画決定の手続を進めているところである。

五の1及び2について

 高架構造物による反射音については、その発生機構について未解明な点が多いが、高架構造物の裏面に吸音板を設置することにより、一定の減音効果があることを都市高速五号線の現地実験により確認しており、反射音の影響がある場合には、吸音板を設置するなど、反射音対策を講ずることとしていると聞いている。

五の3及び4について

 予測年次においては、自動車構造の改善、環状六号線の道路構造の改良により、東京都目黒区青葉台から同豊島区南長崎までの間の都市高速道路中央環状新宿線(以下「本路線」という。)と一般街路との合成騒音は、現況値を下回ると聞いている。

五の5について

 騒音に係る環境基準は、昭和四十五年十二月二十五日の生活環境審議会の答申「騒音に係る環境基準の設定について(第一次答申)」を踏まえて設定されたが、この答申及びその前提となった昭和四十五年六月三十日の同審議会公害部会騒音環境基準専門委員会報告等によれば、騒音レベルが不規則かつ大幅に変動する場合には中央値をその代表値とすることが適切とされている。また、夜間の睡眠に対する影響については、昼間に比べて基準を五ホンから十ホン厳しく設定することにより配慮している。

六の1及び2について

 平常時におけるトンネル内の単位時間当たりの窒素酸化物総排出量については、平成元年三月二十三日から東京都知事が縦覧に供した環境影響評価書案に示された予測交通量、排出係数等から求めている。
 渋滞時においては、自動車一台当たりの排出ガス量は増加するものの、交通量は減少するため、単位時間当たりの窒素酸化物総排出量は、平成二年一月十九日から東京都知事が縦覧に供した本事業に係る見解書で示されているとおり、二酸化窒素濃度の予測に用いた平常時における最大排出時のそれと同程度であると聞いている。
 また、トンネル内及び換気塔からの窒素酸化物濃度は、同見解書に示された換気塔排出口濃度と同じであると聞いている。

六の3について

 トンネル内においては、「許容濃度等の勧告(昭和五十八年四月五日日本産業衛生学会)」に準拠して適切に換気を行うこととしていると聞いている。

六の4について

 本路線は、道路線形及び非常用施設についても道路構造令(昭和四十五年政令第三百二十号)等の基準に合致した安全性の高い道路であると考えているが、首都高速道路公団(以下「公団」という。)は更に安全性を向上させるため、現在、長大トンネルの安全対策について検討を進めていると聞いている。

六の5について

 本事業においては、約六百八十万立方メートルの掘削土が発生するが、この残土については公団が関係機関と十分に調整し、適切な処理が行われると聞いている。