質問主意書

第118回国会(特別会)

答弁書


答弁書第五号

内閣参質一一八第五号

  平成二年六月二十六日

内閣総理大臣 海部 俊樹   


       参議院議長 土屋 義彦 殿

参議院議員諫山博君提出消防職員の団結権に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員諫山博君提出消防職員の団結権に関する質問に対する答弁書

一について

 政府は、従来から、我が国の消防は、その成立以来警察組織の一部門とされていたところであり、昭和二十三年に組織としては警察から分離されたが、任務、権限の性質、内容には基本的に変わりはないこと、現行法制上、国民の生命、身体及び財産を保護し、安寧秩序を保持するという警察と同様な目的、任務を与えられ、かつ、その職務の遂行に当たり警察と同様に広範な強制権限を与えられていること、実際の活動に当たっては、警察と同様、厳正な規律と統制のとれた迅速果敢な部隊活動が常に要求されることなどから、結社の自由及び団結権の保護に関する条約(第八十七号)(昭和四十年条約第七号。以下「ILO第八十七号条約」という。)第九条にいう「警察」に含まれると解してきたところである。
 この点については、ILOの結社の自由委員会において、我が国の消防はILO第八十七号条約第九条にいう「警察」に含まれる旨の見解が示され、また、国内的にも、労働大臣の諮問機関で公労使の三者構成による労働問題懇談会の条約小委員会において、同様の見解が示されていたところであり、このようなことに基づいて、我が国はILO第八十七号条約を批准したものである。

二について

 一についてにおいて述べたような我が国の消防の目的、業務内容等からすれば、消防職員について、火災その他の災害から国民の生命、財産等を保護するという国民全体の共同利益を確保するために、警察職員と同じように、立法上団結権に制限を加えていることには、合理的理由があると考えている。

三について

 消防職員の団結権の問題については、関係を有する政府の各機関において、随時、関係労働団体と意見交換を行うとともに、昭和四十九年の閣議決定に基づき設置された公務員問題連絡会議において、現在、意見聴取の締めくくりとして、代表的な労働団体から意見の聴取を始めたところである。政府としては、この問題について、現段階では結論を得る時期を明示できないが、国内問題であるとの観点に立って、引き続き、検討してまいりたい。