質問主意書

第118回国会(特別会)

答弁書


答弁書第四号

内閣参質一一八第四号

  平成二年六月二十二日

内閣総理大臣 海部 俊樹   


       参議院議長 土屋 義彦 殿

参議院議員上田耕一郎君提出びんの回収、再使用促進等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員上田耕一郎君提出びんの回収、再使用促進等に関する質問に対する答弁書

一について

 政府としては、資源の再利用及び環境保全等に資する観点から空瓶等の回収やリサイクルの円滑な推進について、製造者やその業界を始め、流通業者及び消費者に対し、啓発・指導を行っており、特に、最近における一・八リットル瓶(一升瓶)の空瓶の滞留については、大手清酒製造者及び関係業界に対して、その使用比率を高めるとともに、早期引取りを行うよう要請しているところである。これを受けて、日本酒造組合中央会は、傘下の清酒及びしょうちゅう製造者に対して、空瓶の利用の一層の推進とその早期購入を指示していると聞いている。

二について

 政府としては、省資源、省エネルギー、ごみ処理の円滑化等の観点から、ガラス瓶のリサイクリングが重要な政策課題であると認識し、学識経験者、婦人団体、ガラス瓶製造企業、酒・飲料水等製造企業、ガラス瓶回収業、ガラスくず回収業等によって設立されたガラスびんリサイクリング推進連合に対して、ガラス瓶のリサイクリングに関する調査・研究及び消費者、地方公共団体等に対する啓蒙・普及活動を活発に行うよう指導するなど、その啓蒙・普及に努めてきたところである。
 その結果、現在、我が国において使用されるガラス瓶については、約八割が再使用又は再資源化されており、また、我が国のガラス原料に占めるガラスくずの割合は、約二分の一に達している。
 このように、これまでの活動は、現在までに、相当の成果を挙げてきており、政府としては、平成二年三月二十九日の地球環境保全に関する関係閣僚会議幹事会における申合せも踏まえて、今後とも、こうした啓蒙・普及活動の推進によってガラス瓶のリサイクリングの推進に努めていくことが適当であると考えている。

三について

 政府としては、従来よりごみの減量化推進及び散乱ごみ防止等の観点から、使い捨て容器について関連業界に所要の対応を要請するとともに、排出されたごみの再資源化の推進を行ってきたところである。
 今後とも、地球環境保全の観点も踏まえ、廃棄物の回収及び再資源化を推進するとともに、回収及び再生が可能な製品、容器の開発・普及等について引き続き検討してまいりたい。

四について

 現在、一部の瓶については、御指摘のような回収、再利用が図られているが、このようなシステムが可能なのは、これら一部の瓶を使用する製造者の数が限られており、しかも同型の瓶の取扱量が極めて大量である等の事情によるものであると考えられる。しかし、これら一部の瓶についても、消費者志向の変化や容器開発技術の進歩等を背景に容器が極めて多様化してきていること等から、近年、その使用比率は減少してきていると聞いている。
 こうした中で、他の瓶についても同様のシステムを導入することは、その構築並びに瓶の回収、分別及び再利用のために多くの労力と経費を要し、消費者負担が増加する一方で、瓶の使用比率を更に低下させることになりかねないという問題があり、必ずしも適当ではないものと考えられるので、瓶の回収・再利用の方策については今後とも総合的な見地から検討してまいりたい。

五について

 ガラス瓶の回収、再使用等の促進を図るためには、回収されたガラス瓶に対する需要を高めていくことが基本である。回収されたガラス瓶に対する実需を踏まえずに、回収されたガラス瓶の価格維持制度を創設しても、結果的には回収されたガラス瓶が有効に利用されないことになると考えられる。
 かかる観点から、政府としては、ガラス瓶のリサイクリングに関する調査・研究及び消費者、地方公共団体等に対する啓蒙・普及活動等を推進するなど、ガラス瓶の回収、再使用等の促進に努めているところである。
 また、政府としては、現在、立体型洗びん機に係る税額控除又は特別償却を認める税制上の措置を講じているところである。

六について

 政府としては、省資源、省エネルギー、ごみ処理の円滑化等の観点から、従来より関係業界、消費者等に対する啓蒙・普及等により、ガラス瓶の再使用及び再資源化を進め、そのリサイクリングの推進を図ってきたところである。
 また、平成二年度には、ごみの減量化を促進するための事業を行うこととしており、ガラス瓶のリサイクリングの推進を含めた消費者等への啓発活動を行うこととしている。
 今後とも、平成二年三月二十九日の地球環境保全に関する関係閣僚会議幹事会における申合せも踏まえて、ガラスびんリサイクリング推進連合に対して、消費者、地方公共団体等に対する啓蒙・普及活動を活発に行うよう指導するとともに、政府広報等を通じて広く国民にガラス瓶のリサイクリングの促進を呼び掛けていく所存である。

七について

 瓶の再使用については、昭和六十二年度経済企画庁発行の広報冊子において紹介しているところである。
 昭和六十三年度経済企画庁発行の広報冊子「地球SOS」においては、瓶のカレット化に重点をおいて紹介しているが、再使用も重要であるので今後もこれを含め、瓶のリサイクリングについて紹介してまいりたい。