質問主意書

第118回国会(特別会)

質問主意書


質問第一号

古紙の回収、再利用等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二年五月十日

上田 耕一郎   


       参議院議長 土屋 義彦 殿


   古紙の回収、再利用等に関する質問主意書

 昨年度の東京二十三区から出たごみの総量は初めて五百万トンを超え、五百十六万トンになったということである。このまま行けば、千九百九十五年までの使用を予定していた東京湾の中央防波堤外側のごみ最終処分場は、九十二年度には満杯になってしまうということである。
 こうした事態を生み出した原因は、東京への一極集中と、それに伴う廃棄物の急増、好況に支えられた消費拡大と、使い捨てパック、包装紙などの増加、OA機器使用による紙の使用量の増加などによるものである。
 今、日本国内では、使用済みの紙が再生に回されることなくごみとして処理される量が急増している。OA機器で使った紙がごみとして処理されたり、一般家庭で以前には回収業者などに再利用用として買いとられていた新聞、雑誌などが、回収業者が価格暴落で廃業に追い込まれて回収に来なくなり、部屋に積まれ、その後、ごみとして処分場に回されたりしている。日本の輸入木材は主に紙と建設用である。日本の木材輸入量は世界の木材輸出量の約二割を占め、特にアジアの熱帯雨林から切り出される木材の六割以上は日本向けである。
 このような日本企業による熱帯雨林の乱伐は、地球全体の環境悪化につながるものとして国際問題になっている。古紙一トンは、直径十四センチ、高さ八メートルの樹木二十本に相当するということである。
 今政府が、熱帯雨林など森林保護、地球環境保護のため古紙等の回収と再利用に本腰を入れて取り組むことは緊急で、極めて重要な課題である。こうした状況下での古紙の回収、再利用等に関連して、以下質問する。

一 円高と「内需拡大」政策は、木材、パルプの輸入価格低落と輸入量の増大をもたらし、国産材の生産や国内の古紙回収を流通価格や需要の面からも採算のとれないものにして資源のリサイクル・システムを破壊している。古紙の値段について、資源回収業者が直納問屋に売る値段を千九百八十四年と現在を比較すると、一キログラム当たり古新聞が二十円から七~八円に、古雑誌が十八円から四~五円に、ダンボールが二十七円から十~十一円に暴落し、資源回収業者は採算がとれなくなり、廃業に追い込まれている。政府は、官公庁、地方自治体、企業の事務用紙等や、一般家庭の古紙等資源のリサイクル・システムを早急に確立すべきではないか。

二 熱帯雨林の保護、資源の有効活用と再利用、自治体のごみ処理費軽減のために、資源回収業者等の社会的役割を正当に評価し、古紙などの価格維持制度を創設すべきではないか。

三 障害者の福祉施設などは、古紙回収費で施設維持費用を補填しており、古紙の一定の価格維持は切実な要求になっている。このような施設等が回収した古紙の価格維持のために、政府は一定の援助をすべきではないか。

四 政府は、企業が森林を開発する際は、税金の減免措置を採っている。当然、資源回収業者に対しても税金の減免措置をとるべきではないか。

五 紙、板紙の回収率は、財団法人古紙再生促進センターの資料によると、千九百八十三年の五十・五%から千九百八十八年の四十七・九%と落ちている。政府は、回収率を大幅に引き上げるため、国、自治体、企業の古紙再生のための措置を義務化すべきではないか。

六 政府は、自治体、企業の再生紙利用率を向上させる計画を立案すべきではないか。また、古紙再生と再生紙利用を呼びかける広報活動を強化すべきではないか。

  右質問する。