質問主意書

第117回国会(常会)

答弁書


答弁書第二号

内閣参質一一七第二号

  平成二年二月六日

内閣総理大臣 海部 俊樹   


       参議院議長 土屋 義彦 殿

参議院議員喜岡淳君提出JR事故防止対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員喜岡淳君提出JR事故防止対策に関する質問に対する答弁書

一について

 安全の確保は輸送機関としての基本的な使命であるという認識に基づき、従来から、事故防止対策につきJR各社を指導しているところであり、JRの鉄道運転事故件数は減少傾向にあるが、御指摘のような事故の発生にかんがみ、引き続きJR各社を適切に指導してまいりたい。

二について

 東中野駅事故を契機として、運輸省及びJR各社の安全担当責任者で構成される鉄道保安連絡会議を定期的に開催し、事故防止対策の周知徹底等を図ってきたところである。
 また、ATS-P等の高機能の自動列車停止装置については、列車の運行状況、線区の状況等に応じ、その導入について指導しているところである。

三について

 JRの列車走行百万キロメートル当たり鉄道運転事故件数は減少傾向にあり、安全対策面においていわゆる国鉄の分割・民営化による支障等があるとは考えられない。

四について

 JR各社からは、鉄道事故に関する情報等について職場における掲示、回覧等の適切な手法により職員への周知徹底を図っていると聞いている。

五について

 JR各社による軌道中心間隔の総点検の結果、普通鉄道構造規則(昭和六十二年運輸省令第十四号)第二十三条に規定する基準には適合していないことが判明した箇所については、線路及び車両の使用制限により安全の確保が図られているが、必要に応じ改良を行うようJR各社を指導しているところである。

六について

 車両とプラットホームとの間隔については、鉄道運転規則(昭和六十二年運輸省令第十五号)第十八条の規定に基づき、鉄道事業者が定期検査を行うものとされている。

七について

 年末年始の輸送等に関する安全総点検の結果、改善すべき点が明らかになれば、JR各社に対し適切な措置を講ずるよう指導してまいりたい。

八について

 鉄道事故については、航空事故及び海難に比べ、事故原因究明のための証拠となる物件が多く残されていること等から、事故原因の究明が比較的容易であり、また、必要に応じ交通安全公害研究所及び財団法人鉄道総合技術研究所を活用して原因究明の信頼性を高めることが可能であることから、今後とも、事故原因の究明及び事故の再発防止のための指導を適切に実施することができるものと考えている。

九について

 JR各社が行う高機能の自動列車停止装置の導入、軌道中心間隔の改良工事等の安全防災対策工事に対する財政上の措置として、昭和六十二年度に日本開発銀行による長期かつ低利の融資制度を設けたところである。

十について

 平成元年度予算における鉄道防災事業費については、JR各社における防災工事の見通しを踏まえた上で必要と見込まれる額を計上しており、鉄道防災事業の実施に支障はないものと考えている。