第117回国会(常会)
質問第四号
新石垣空港新予定地での自然保護上の問題に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成二年一月二十二日 清水 澄子
新石垣空港新予定地での自然保護上の問題に関する質問主意書 昨年四月二十六日、沖縄県は新石垣空港の建設地をこれまでの白保海域(以下「旧予定地」という。)からカラ岳東海域(以下「新予定地」という。)に変更する旨、発表した。これについて環境庁は、「新予定地での自然保護上の問題はない。」と間髪を入れず表明、その後も繰り返しその判断に変更のないことを明らかにしている。
一 千九百八十八年十一月から十二月にかけて、環境庁が実施した「石垣島周辺海域等サンゴ生息現状調査」(以下「環境庁調査」という。)のカラ岳東海域における調査地点は、新予定地北端部付近の海域の一測線(st数4)だけと聞いている。一方、自然保護団体等が指摘している天然記念物級のユビエダハマサンゴ群落やエダミドリイシ等の大群生域の海域は、新予定地南半分東側海域とされている。この二つの地点は明らかに別の場所と考えられるが、どうなのか。 二 環境庁調査のカラ岳東における調査地点の生サンゴ平均被度は十四パーセントと発表されているが、これは新予定地北端部の一測線(st数4)だけの平均被度か。 三 昨年五月十七日に環境庁が記者発表した資料には「新予定地南側のリーフ寄りには枝状ハマサンゴ・枝状ミドリイシ等の比較的良好な生息域が存在する。」とあるが、この海域が自然保護団体等が指摘する天然記念物級のユビエダハマサンゴ群落やエダミドリイシの大群生域の存在する海域と考えられるがどうか。地図上にその海域を示されたい。 四 環境庁調査では、カラ岳東の調査地点は、新予定地北端部の一測線(st数4)だけと聞いているが、前記新予定地南側のリーフ寄り海域の調査はどのように行われたのか。この地点の生サンゴ平均被度は何パーセントか。またこの地点が「汀線から五、六百メートル、埋立予定地から三~五百メートル離れているから工事の影響はない。」とする環境庁見解の根拠は何か。 五 環境庁のこれまでの発表を総合すると、新予定地周辺海域には枝状ハマサンゴや枝状ミドリイシ等の比較的良好な生息域は存在するものの、普遍的な種類で、特異な目立つものはないということになると思われる。では環境庁調査の二十二ポイントの中で、先の天然記念物級のユビエダハマサンゴの大型群体や大群落に匹敵する規模のユビエダハマサンゴはどの海域に存在したか、明らかにされたい。また他機関の調査報告書等の中にも匹敵する規模のものがあれば、具体的に示されたい。 六 新予定地周辺海域は、魚類の日本有数の健全なサンゴ礁産卵場であるとの調査結果も出されている。これについて環境庁はどのように考えているのか、明らかにされたい。 七 環境庁調査は、石垣島周辺の二十二地点のサンゴの生息現況を調査したものと考えられるが、カラ岳東の地点では、ここに空港が建設された場合の環境影響予測調査も実施したのか。 八 環境庁は新予定地と旧予定地の海域は、同一生態系でないと判断し、その根拠として(1)途中二カ所にあるリーフの切れ目の存在、(2)轟川北側の河口から切れ目に向かう北向きの支配的な流れを挙げているが、それだけで同一生態系でないという科学的根拠となり得ると考えているのか。他の根拠もあればデータも添えて示されたい。 九 前記北向きの流れが支配的であるとするのは、潮流調査等によって明らかになったことか。また航空写真等によって判断したものか。調査名称、期日、機関、内容等を具体的に示されたい。また、航空写真等の場合も同様に具体的に示されたい。 十 北向きの流れが支配的であるというのは、季節、風向、潮の干満等の条件が変わっても同じように言えることなのか。 十一 以上のほか、環境庁が新予定地での自然保護上の問題はないと判断した根拠となった調査報告書、文献等があれば、その名称、著者、発行期日、参考にした調査内容等につき具体的に説明されたい。 十二 環境庁は沖縄県に対し、サンゴ等の保全を図るための助言・指導を行う旨、繰り返し表明しているが、計画変更発表後これまでにどのような助言・指導を行ったか、具体的に明らかにされたい。 右質問する。 |