質問主意書

第116回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六号

国連差別防止・少数者保護小委員会委員の推薦基準等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成元年十一月十日

竹村 泰子   


       参議院議長 土屋 義彦 殿


   国連差別防止・少数者保護小委員会委員の推薦基準等に関する質問主意書

 人権擁護活動は国連における最も重要な活動の一つである。外交政策の基本として国連重視主義をとる日本政府は、この領域でも国際社会の大きな期待を担っており、同時にこれにこたえるべき大きな責務を負っている。こうした活動の一つとして政府は、差別防止・少数者保護小委員会(以下、人権小委員会と略す。)に対して委員の推薦を行い、一九八四年から同小委員会に専門家を送り出す一方、八八年には政府推薦のもとで、学習院大学教授が同小委員会の正委員に選任された。しかるに同委員はその要職にもかかわらず、人権擁護活動を伸長するどころか、むしろこれを阻害する差別的な発言を行っている。これに対し国内の人権擁護活動家を中心に、同委員の辞任と、人権小委員会委員の推薦に対する開かれた客観的制度の新設を求める運動が始められたことは周知の事実である。以下、同小委員会委員の推薦基準等について質問する。

一 人権擁護活動家を中心に提出された公開質問状に対する回答(外務省・国人第九三〇号、平成元年八月一日)で「候補の選定に当たっては、国際法・国際関係全般に関する見識、国際機関等での経験等を含め、諸般の基準を総合的に判断することとしている。」とある。この「諸般の基準」の中に、日本国内の人権問題に対する見識・業績が含まれるのかどうか、明らかにされたい。

二 同回答で述べられている「国際法・国際関係全般に関する見識」「国際機関等での経験」には、納得のいく、客観的な基準(少なくとも最低の業績評価基準)がそれぞれについて設けられているのか。設けられているとすれば、その基準はどのようなものか、明らかにされたい。

三 候補の選定に当たっては、選定のために特別機関等が外務省の内部に設けられるのか、あるいは、国連局人権難民課長の裁量権の範囲で行われるのか。その選定に当たっての責任を明確にされたい。

四 同回答において「再立候補問題については将来のことであり言及する段階にない。」と述べられているが、次期の候補者選定は、一九九一年の改選に向けていつの時点から始められるのか、明らかにされたい。

五 人権小委員会委員の推薦を国内の人権NGOとの協議等を通して行うような新しい開かれた選定制度の設置について、外務省がこれに難色を示すとすれば、現在どのような問題点があるのか。見解を明らかにされたい。

  右質問する。