質問主意書

第116回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一号

広島大学の統合移転促進に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成元年十月九日

塩出 啓典   


       参議院議長 土屋 義彦 殿


   広島大学の統合移転促進に関する質問主意書

 広島大学は昭和二十四年、それまであった広島高等師範学校、広島文理科大学等八校と一研究所を包括・併合して発足し、その後も医・歯両学部の設置を始め、学部の改組充実等を図ってきた。その結果、今日では十一学部、九研究科、学生数一万四千三百四十三名という中国地方最大の総合大学に発展した。この間、教育・学術・研究の分野で多大の功績を残すとともに、地域の拠点校として、地域社会の発展に大きく貢献してきたところである。
 しかし、同大学は発足当初の経緯から各学部が県内数カ所に分散しているため、総合大学としての特色を出せないばかりか、学部の新増設等によりキャンパスは狭隘化するなど、教育・研究条件の悪化が顕著となっていた。
 そこでこの問題を解消し新しい時代にふさわしい理想的な総合大学へ発展していくためには、十分な広さと地理的にふさわしい土地を選んで統合移転することが緊急の課題となり、昭和六十年度までに東広島市西条地区へ順次統合移転することが昭和四十八年に決定された。しかし、その後移転計画は二度にわたって移転完了時期の修正が行われるなど大幅に遅れ、現在までのところ工学部、生物生産学部と教育学部の移転が実現しているにすぎない。しかも、この移転計画の遅れにより、既存キャンパスは老朽化し、マスプロ授業に拍車がかかり、他方、既に移転した学部も後続の学部が移転してこないため、図書館本館の移転や体育施設、福利厚生施設等付帯施設の整備の遅れ、交通アクセスの不便、周辺のインフラ整備の遅れなど教育・研究活動に多大の支障を来してきており、もはや一刻の猶予も許されない事態に陥っている。
 したがって、計画どおり平成六年春には必ず同大学の統合移転が完了するよう、平成二年度以降の文部省予算において特段の配慮がなされるべきであると考える。
 そこで、以上の考えから、以下若干の質問をしたい。

一 当初計画より既に四年の遅れとなっているが、現在までの同大学の移転計画の進捗状況はどのようになっているか。決定から移転計画完了まで四半世紀近くも費やすことは、同大学だけでなく、我が国高等教育全体の発展にとっても大きな損失であると思われる。これ以上移転完了時期が遅延しないよう、政府は努力すべきではないか。

二 大学の跡地は貴重な国有地でもあり、しかも一等地である。本部キャンパス跡地の利用計画については、同大学をはじめ地元関係者と十二分に協議を重ね、将来展望に立った悔いのないものとすべきではないか。また移転に伴う経費に充てるために、借入金の活用も検討してはどうか。

三 広島大学は移転後の同大学に西日本地域の大学が共同利用する「放射光利用研究センター」の設置などを要望している。このセンターなどの新設により、西日本地域の大学との交流を促進し、広島大学がこの地域での中心的役割を果たすようにすべきであると考える。
 政府として移転後の同大学を、我が国の高等教育機関の中でどう位置づける考えか。

  右質問する。