質問主意書

第115回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第三号

内閣参質一一五第三号

  平成元年八月二十九日

内閣総理大臣 海部 俊樹   


       参議院議長 土屋 義彦 殿

参議院議員田英夫君提出ビルマ(ミャンマー)連邦の駐日大使館敷地の売却に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員田英夫君提出ビルマ(ミャンマー)連邦の駐日大使館敷地の売却に関する質問に対する答弁書

一について

 欧米主要国の中には政府承認制度を採用していない国も多く、また、政府承認制度を採用している国の中にも政府承認を行ったか否かにつき明らかにしない国もあるので、我が国による現ミャンマー連邦政府に対する政府承認が世界で何番目に当たるかを明示することは困難である。
 なお、我が国政府による現ミャンマー連邦政府承認は、客観的に見て政府承認を行うための国際法上の要件である実効的支配並びに国際法遵守の意思及び能力を既に満たしていると判断するに至ったために行ったものであり、御指摘の「要望書」を受けたことによるものではない。

二の(一)ついて

(1) 平成元年八月十七日現在、政府として把握している御指摘の大使館敷地の所在地、 所有権者及び敷地面積は次のとおりである。
 所在地 東京都品川区北品川四丁目三百三番四及び三百三番六
 所有権者 ミャンマー連邦(ただし、登記上は旧国名の「ビルマ連邦」)
敷地面積 五九八八・三二平方メートル(三百三番四)及び九二五五・五九平方メートル(三百三番六)
(2) 御指摘の大使館敷地に近接する同質の用途の土地(標準地番号は、品川十(東京都品川区北品川五丁目七一八番八八。第一種住居専用地域、容積率百五十パーセント))の地価公示価格(昭和六十四年一月一日時点)は、一平方メートル当たり二百四十万円である。
(3) 御指摘の大使館敷地の路線価は、大部分が一平方メートル当たり八十一万円、一部が百十九万円である。

二の(二)について

 御指摘の大使館敷地は、昭和十九年及び昭和三十七年に当時のビルマ政府が購入、取得したものであり、賠償等により我が国政府が供与したものではない。

二の(三)について

 昭和六十三年頃からミャンマー連邦政府が御指摘の大使館敷地の一部について売却を検討していることは承知しているが、売却に関するミャンマー政府の具体的な対応振りについては承知していない。

二の(四)について

 一般論として、外国政府が我が国において得る所得のうち、通常の政府機能の範ちゅうに含まれる行為に基づく所得については、相互主義を前提とする国際的な礼譲により免税としている。
 各国大使館の土地の譲渡による所得について、免税の取扱いをするかどうかについては、相互主義の前提が満たされるかどうかなどの事実関係を把握した上で判断することとなる。

二の(五)について

 外国大使館敷地等の売却に対しても、従来から国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)の届出を求めているところである。
 御指摘の土地が売却される場合の届出に基づく処理は、東京都知事が行うこととされているが、政府としては、地価の安定の観点から関係行政機関相互の連絡を密にし、国土利用計画法の的確な運用に努めてまいりたい。