質問主意書

第114回国会(常会)

答弁書


答弁書第二〇号

内閣参質一一四第二〇号

  平成元年七月十一日

内閣総理大臣 宇野 宗佑   


       参議院副議長 瀬谷 英行 殿

参議院議員中野鉄造君提出「予算の空白」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員中野鉄造君提出「予算の空白」に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 平成元年度においては、本予算が年度開始までに成立しなかったため、四月一日から五月二十日までの五十日間の暫定予算の編成を行ったところであるが、その後、国会における本予算審議の状況からみて、五月十八日に至っても暫定予算の期間内に本予算が成立することが期待できず、国政の円滑な運営に支障が生じるおそれがあったところから、政府は同日暫定補正予算の作成を開始し、五月二十二日に平成元年度暫定補正予算を閣議決定したところである。
 しかしながら、暫定補正予算を国会に提出した場合、その審議のための日数を要し、かえって本予算の円滑な審議を妨げることも懸念されたところから、本予算の成立を期待しつつ、本予算及び暫定補正予算の審議の見通しを判断するため、なお国会における審議状況を見守っていたところであるが、結果的に提出するに至らなかったものである。
 なお、予算の空白が生じた期間中においては、立替払等の方法により必要最小限度の財務処理を行い、国政の運営に支障を生じることのないよう努めたところである。

三について

 予算の空白を生じた期間中は、予算の執行は行い得ないことは言うまでもないが、この間の国政の円滑な運営に支障を生ずることのないよう、立替払等の方法により、予算の執行とならない形でやむを得ず必要最小限度の財務処理を行っている。この期間中は予算の執行が行い得ないという面からみると、このような処理が可能な期間はごく短い限られたもので、その間の経費の支払等も、このような処理が可能な最小限度のものであると考える。

四について

(1)今回の暫定補正予算の編成に当たっては、暫定予算が本予算成立までの応急的な措置であることにかんがみ、行政運営上必要最小限のものを計上したところであり、その内容は次のとおりである。

[1] 年金、失業給付金等
[2] 国立病院等の医療費、食糧費
[3] 退職手当等人件費
[4] 電子計算機等の借料
[5] 国庫債務負担行為の歳出化経費等

(2)また、予算の空白期間中において支払等を必要とする経費については、それぞれ立替払、支払の延期等によって対処しているが、科目別の対応措置及び予算成立後の事後処理については、次のとおりである。

[1] 調停委員手当

 裁判所の調停委員に対する手当の支給については、資金前渡官吏に交付済みの前渡資金の残額で支払うことにより対処した。
(注) 調停委員手当の前渡資金による支払状況
 前渡資金による支払額(千円)
       四〇七、二三七

[2] 被収容者作業賞与金等

 監獄法(明治四十一年法律第二十八号)等に基づき支給される被収容者作業賞与金等については、第三者(財団法人矯正協会)による立替えで対処した。
(注)被収容者作業賞与金等の立替払の状況
 立替払された額(千円)  歳出予算で補てん処理した時期
     二九、五六六   五月三十一日

[3] 供託金利子

 供託法(明治三十二年法律第十五号)に基づく供託金の利子の支払については、予算決算及び会計令(昭和二十二年勅令第百六十五号)により供託金(歳入歳出外現金)の繰替使用で対処した。
(注)供託金利子の繰替使用の状況
 繰替使用した額(千円)  歳出予算で補てん処理した時期
        五二九   六月二日

[4] 保険給付費(厚生保険、船員保険、国民年金及び労働保険)

 健康保険法(大正十一年法律第七十号)、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)等に基づき支払われるいわゆる随時払分については、資金前渡官吏に交付済みの前渡資金の残額で支払うことにより対処した。
(注)保険給付費の前渡資金による支払状況
 前渡資金による支払額(千円)
    一二、七〇六、六二八

[5] 失業給付金等

 雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)等に基づき四週間に一回ごとの指定された日に支給することとなっている失業給付金等の支給については、資金前渡官吏に交付済みの前渡資金の残額で支払うことにより対処した。
(注)失業給付金等の前渡資金による支払状況
 前渡資金による支払額(千円)
    二〇、一四九、二六九

[6] 郵便貯金の支払利子、簡易生命保険等の保険金等

 郵便貯金法(昭和二十二年法律第百四十四号)に基づく支払利子及び簡易生命保険法(昭和二十四年法律第六十八号)に基づく保険金等の支払については、予算決算及び会計令による郵政官署における現金の繰替使用で対処した。

(注)郵便貯金特別会計、簡易生命保険及郵便年金特別会計に係る繰替使用の状況

(イ)郵便貯金特別会計

繰替使用した額(千円)  歳出予算で補てん処理した時期
 一、七二二、五五五   五月三十一日

(ロ)簡易生命保険及郵便年金特別会計

繰替使用した額(千円)  歳出予算で補てん処理した時期
六二、七七四、九二〇   六月三十日

[7]国選弁護人報酬

 刑事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十一号)に基づく弁護人に支給する費用は、予算成立後に後払した。

[8] 証人及び参考人等の旅費

 刑事訴訟費用等に関する法律等に基づいて出頭する証人等の旅費については、予算成立後に精算払した。

[9] 食糧費(刑務所等被収容者、国立更生援護機関入所者、国立病院患者等)

 暫定予算の期間からの持越食糧により対処した。

[10] 調達労務管理費

 駐留軍従業員就業規則等に基づく夏季手当等については、予算成立後電信で送金する等の方法により対処した。

[11] 武器車両等購入費等

 契約に基づく武器車両等購入費等の支払については、予算成立後に後払した。

[12] 賠償償還及払戻金

 航空機接触事故の判決確定に伴う損害賠償金の支払については、予算成立後に後払した。

[13] 医薬品等購入費(国立学校、国立病院等)

 暫定予算の期間からの持越医薬品等により対処した。

[14] 資金運用部預託金利子

 資金運用部資金法(昭和二十六年法律第百号)に基づく利子の支払については、予算成立後に後払した。

[15] 輸入食糧買入費及び輸入飼料買入費

 輸入食糧買入費及び輸入飼料買入費については、予算成立後に後払した。

[16] 健康保険印紙収入の繰入れ

 郵政事業特別会計の印紙の売り捌き代金の厚生保険特別会計への繰入れについては、予算成立後に後払した。

[17] 失業対策事業費補助金

 緊急失業対策法(昭和二十四年法律第八十九号)に基づく失業対策事業費補助金については、予算成立後に交付した。