質問主意書

第114回国会(常会)

答弁書


答弁書第八号

内閣参質一一四第八号

  平成元年五月九日

内閣総理大臣 竹下 登   


       参議院議長 土屋 義彦 殿

参議院議員下田京子君提出過疎問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員下田京子君提出過疎問題に関する質問に対する答弁書

一について

 これまでの過疎対策の成果や過疎地域の現状を踏まえ、関係各方面とも協議しながら検討してまいりたい。

二の(一)について

 農業基盤整備事業等の農林水産公共事業の採択基準は、公共性、地域の特性等を勘案して定められているところであり、過疎地域については、従来から採択基準の緩和を行い、事業の推進に努めてきたところである。
 なお、過疎地域の中には、農林水産公共事業の採択基準に満たない場合でも第三期山村振興農林漁業対策事業等の非公共事業を実施している地域があり、これらの事業の活用も図っているところである。

二の(二)について

 過疎対策事業債の対象となる道路は、幅員が五メートル以上の道路に限定されていない。

二の(三)について

 社会福祉施設の定員については、効果的な処遇のための一定の職員配置の必要性や公的財源の効果的な使用という観点から、各施設ごとに適切な定員規模を設けているものである。特別養護老人ホームについては、原則五十人以上の規模としているが、平成元年度からは山村、過疎地域について三十人以上のものを認めることとしているところである。

二の(四)について

 現行の老人福祉施設としての補助対象以外のものも含めて補助対象とすることは現段階においては困難と考えるが、今後とも家庭奉仕員派遣事業等の在宅福祉対策の大幅拡充、特別養護老人ホーム等の施設対策の充実やこれらの施策の有機的連携を図ってまいりたい。
 なお、過疎対策事業債については、過疎地域振興特別措置法(昭和五十五年法律第十九号。以下「法」という。)第十二条第一項第五号に定める老人福祉施設に該当するものは対象となる。

二の(五)について

 地場産業の振興に資する施設、伝統芸能の継承の場を有するなど集会を主たる目的とした施設及び観光・レクリエーション施設は、過疎対策事業債の対象とされている。
 また、下水道整備事業は、下水道整備事業債の対象とされており、その元利償還金については、地方交付税による措置が講じられている。

二の(六)について

 林業の振興を図ることは、過疎地域の振興を図る上で重要であり、このため、造林事業、林道事業等の実施、地域林業の中核的担い手としての森林組合の育成強化等の施策を推進してきているところである。

二の(七)について

 積雪地帯における経常的な除排雪経費については、普通交付税の基準財政需要額に算入しており、豪雪等により当該基準財政需要額を超える財政需要が生じた場合には、特別交付税において措置することとしている。

三について

 過疎市町村の基準財政需要額の算定に当たっては、法の趣旨にかんがみ、過疎対策事業債の元利償還金を測定単位の数値として用いるほか、人口密度、人口急減割合、農地や森林の面積、市町村役場から県庁所在地までの距離等の要素を考慮した補正を行うなどその実情を反映した算定を行っているところである。

四について

 国土庁において、毎年度、過疎地域における人口動向、公共施設の整備状況等の実態を調査し、適宜公表しているところである。