質問主意書

第114回国会(常会)

質問主意書


質問第九号

かんきつ園地再編対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成元年四月二十一日

塩出 啓典   


       参議院議長 土屋 義彦 殿


   かんきつ園地再編対策に関する質問主意書

 政府は昭和六十三年六月二十日、それまでのオレンジの輸入自由化はしないとの方針を変更し、自由化を決定した。これを受けて、政府は八月二十六日、かんきつの国内対策を決定したが、その重点はかんきつ園地再編対策に置かれている。
 しかるに、園地再編対策は、助成金の水準、他制度との関係、目標面積の配分等に関して、数多くの複雑な問題を抱えており、各地のかんきつ生産農家から批判や疑問の声があがっている。
 よって、以下の諸点について政府の見解を伺いたい。

一 園地再編の助成金は、温州みかん園地を廃園又は林地とする場合には、十a当たり平均三十万円、温州みかん園地を他作物又は他果樹の農地とする場合と甘夏・伊予柑等の中晩柑を転換する場合には十a当たり十万円とされている。

1 農地は、国民に食料を供給するために欠かせない要素であるばかりでなく、国土の保全、自然環境の維持等に重要な役割を果たしている。しかるに、温州みかん園地については、農地以外へ転換する場合が農地として継続する場合よりも、助成金の水準が高いのはなぜか、明らかにされたい。
2 グレープフルーツの関税率が引き下げられるため、競合関係にある中晩柑の生産農家は、極めて大きな打撃を受けると予想されている。しかるに、中晩柑園地を廃園又は林地とする場合の方が、温州みかん園地を廃園又は林地とする場合よりも、助成金の水準が低いのはなぜか、明らかにされたい。
3 園地を転換した見返りに助成金を受け取っても、転換後にその土地を有効に利用できないのならば、生産農家は、「去るも地獄、残るも地獄」という立場に置かれることになる。そこで、転換後の非農地の用途、転換後の農地で栽培するのに有利な転換作物や転換果樹等について、政府の指導方針を明示されたい。
4 助成金への課税について、政府が減免措置の適用を明らかにしていないため、一時所得としてかなり高率の課税が行われるのではないかと心配されているが、政府の見解を伺いたい。
5 他作物又は他果樹に転換する場合に、国からの助成金のほかに、県から補助金を交付している例もあると報道されているが、政府は各都府県の園地再編についての取り組みについて、どの程度把握しているか、詳述されたい。

二 最近は、園地を転換することにより、生産農家が他制度との関係で、予想外の不利益を被りかねないことが問題となっており、各地で陳情、要望等が繰り返されている。

1 園地を廃園(廃園後も農業の再開をできるように農地としての保全管理が行われていること等の条件を満たしているものを除く)又は林地とする場合には、相続税と贈与税の納税猶予制度の適用が打ち切られ、猶予されていた税額と年六・六%の延滞金を納入しなければならないことになっている。このような場合には特例として、同制度を引き続き適用できるようにすべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
2 園地を廃園又は林地とする場合には、長期営農継続農地制度の適用が打ち切られ、猶予されていた固定資産税額と年十四・六%の延滞金を納入しなければならないことになっている。このような場合にも特例として、同制度を引き続き適用できるようにすべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
3 農業者年金基金制度に加入している農業者が資格を維持するためには、廃園又は林地とした園地以外の農地を三十a以上経営していなければならないが、特例として、廃園又は林地とした園地を経営農地に含めることを検討すべきではないか。
4 最近八年以内に土地改良事業を実施した園地を廃園又は林地とする場合には、農家負担金を返済しなければならないが、このような場合には特例として、返済を免除すべきではないか。

三 全国農協中央会、全国農協連合会、日本園芸農協連合会、各都府県果実生産出荷安定協議会で構成する全国果実生産出荷安定協議会は、平成元年三月七日、農林水産省農蚕園芸局に温州みかん園地の府県別転換等目標面積の設定を通知した。目標面積は、府県別に多い順に愛媛三千四十ha、和歌山二千四百二十ha、佐賀千九百四十ha、静岡千九百三十ha、熊本千九百ha等で、合計で二万二千haとなっている。

1 目標面積の配分要素は、結果樹面積四十%、露地みかん卸売価格三十%、早生面積比率二十%、加工原料用仕向比率十%とされているが、地域経済での重要性、中核的農家の比率地形・気候等の自然条件等は配分要素に含まれないのか。
2 配分された目標面積に対する希望面積の割合は、産地によりかなりバラつきがあるが、温州みかんでは七十から九十%と希望面積が配分面積を下回っている反面、中晩柑では二百%という例もあり、希望面積が配分面積を大幅に上回っているとの報道がある。政府としては、生産者の自主性を基本としながらも、どのような産地が残ることを期待しているのか。

  右質問する。