質問主意書

第114回国会(常会)

質問主意書


質問第七号

野球場の安全対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成元年四月三日

佐藤 昭夫   


       参議院議長 土屋 義彦 殿


   野球場の安全対策に関する質問主意書

 春の訪れとともに、甲子園では選抜高校野球大会が始まり、四月早々にはプロ野球の公式戦が開幕する。全国的に、少年野球、大学野球そして社会人野球など、職場、地域、学園で多くの子供たちや市民が野球をプレーし、また楽しんでいる。
 しかし、野球場の安全対策は、極めて不十分といえる。一昨年八月、日本高等学校野球連盟(以下、高野連)の加盟校が公営の野球場を借りて練習試合を行っていた際、外野手が飛球を追って外周フェンスの基礎コンクリートに激突、頭部を強く打って二週間後に死亡するという痛ましい事故が起こっている。そして、このような野球場の外周フェンスに激突して負傷する事故は、金属製バットの普及とともに打力の向上が目覚ましいため、年々増加している。
 高野連が千九百八十七年十二月末現在でまとめた全国のアンケート調査によると、地区大会で使用している全国二百四十五の野球場のうち、外周フェンスに選手の安全を守るラバーが張られているなど安全対策が施されている野球場は、全体の二十三%に当たる五十六箇所で、一部実施三十四箇所を含めても全体の三十六・七%にすぎない。プロ野球の選手会労働組合では、選手の安全上、ラバーを設置していない地方球場では試合をしない、との態度を明らかにしている。
 西岡文部大臣は、高校野球について「一生懸命ボールを追う球児の姿が胸を打つ」と発言しているが、一生懸命ボールを追ってフェンスに激突、その結果負傷する、あるいは死亡するなどの事故が起こってはならない。また、千九百八十九年度の文部省の野球場施設整備予算は、一施設当たりの補助限度額が千百三十万円(設置箇所は五箇所)となっており、安全対策にまで手がまわらない極めて低額の予算措置となっている。こうした事態は、野球が千九百九十二年バルセロナ・オリンピックから正式種目になったことと考えあわせると、スポーツ振興にとっても大きなマイナスになると言わざるをえない。
 そこで、以下、野球場の安全対策に関して、質問する。

一 文部省の「運動場補助実施要項」では専用の野球場とは外周フェンス、バックネット、マウンド等の設備を付設したものとなっているが、全国約一万箇所の野球場・ソフトボール場のうち、外周フェンスを設置している野球場数、そのうち外周フェンスにラバーを取り付けるなど安全対策を施している野球場数などについて、どのように実態を把握しているのか、明らかにされたい。もし、実態を把握していなければ、安全対策上の視点から、早急に実態を調査すべきだと思うが、どうか。

二 専用の野球場の新設に対する国の補助対象は、八十九年度予算案ではわずか五箇所であり、しかも文部省の補助限度額が一箇所当たり千百三十万円と極めて低額のため、施設整備に当たって十分な安全対策が採られていないのが現状といえる。したがって、予算額を大幅に増額し、ラバー取付けを義務づけることやフェンスの素材の改善など、安全対策上、積極的な指導を行うべきだと思うが、どうか。

三 既存の野球場については、高野連の全国調査によっても安全対策が全く施されていない野球場が百五十五箇所あり、一部実施されているものの、その安全性が不十分な施設を含めると七十七%余りで安全対策が放置されている。そして、野球場の各施設管理者の多くは改修を希望している。
 そこで、既存の野球場に対するラバー設置などの安全対策については、国の補助対象として施設整備を進めるなど、抜本的対策を講ずるべきだと思うが、どうか。

  右質問する。