質問主意書

第113回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一九号

内閣参質一一三第一九号

  昭和六十三年十二月十六日

内閣総理大臣 竹下 登   


       参議院議長 土屋 義彦 殿

参議院議員村沢牧君提出長野県伊那谷における米軍ジェット機による低空飛行訓練に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員村沢牧君提出長野県伊那谷における米軍ジェット機による低空飛行訓練に関する質問に対する答弁書

一から四までについて

 外務省から在日米大使館に対し照会を行つたところ、これまで米側より、米海軍の空母ミッドウェーの艦載機が長野県において飛行訓練を行つた旨の回答を得ている。
 これら航空機が訓練時にどのような兵器を搭載しているか等については、米軍の運用にかかわる問題であり、政府として承知する立場にない。

五について

 自衛隊は、必要に応じ公海上等における航法訓練等を行つているが、その際、最低安全高度に関する航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)の規定等を遵守し安全に配慮しつつ行つているところである。

六及び十二の1について

 米軍は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号)第六条の規定に基づき、日本の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、我が国において施設・区域を使用することを許されている。米軍がかかる目的で我が国に駐留することを同条約が認めているということは、事前協議にかかる事項のように別段の定めのある場合を除くほか、米軍がかかる目的の達成のため、飛行訓練を含め軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行うことを当然の前提としているところ、米軍は、個々の飛行訓練の内容等について我が国への連絡を行う必要はない。ただし、御指摘の米軍機の飛行訓練については、外務省からの照会に対し、米側から一から四までについてにおいて述べた回答がなされている。
 また、御指摘の米軍機の飛行訓練については、このような米軍の駐留目的を達成する上で必要なものと理解しており、政府としては、これを止めるよう米側に求める考えはない。
 一方、米軍は全く自由に飛行訓練等を行つてよいわけではなく、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払つて活動すべきものであることは言うまでもなく、米軍もこの点には十分に留意し、御指摘の飛行訓練を行うについては安全面の配慮を払うとともに、地域住民に与える影響を最小限に留めるよう努めているものと承知している。

七、八及び十について

 米軍機が長野県で飛行訓練を実施することとなつた経緯等は米軍の運用にかかわる問題であり、政府として承知する立場にない。
 また、政府としては、米側に対し、従来より累次の機会に米軍機の飛行に際する安全確保につき要望してきたところであり、米軍としては、同地域において飛行訓練を行うについては、同地域における諸事情を認識の上行つているものと理解しているが、政府としては、米側に対し、送電線の存在等当該地域の諸事情につき念のため説明の上、これらの事情を踏まえた上で安全確保につき万全の措置を採るよう、また、騒音等の問題に十分配慮するよう申入れを行つた。
 これに対し、米側は、航空法に規定された最低安全高度を尊重し、極力村落を避けて飛行を行う等安全面での配慮を払うとともに、地域住民に対する影響を最小限にするよう努めている旨述べている。

九、十一及び十二の4について

 政府としては、長野県で航空機の低空飛行が増加している旨報道されたこと等にかんがみ、米軍機がかかる飛行を行つているのかにつき、在日米大使館に対し照会を行つていたところ、米海軍厚木飛行場から飛び立つた米海軍機が長野県において飛行訓練を行つている旨回答を得た。
 政府としては、同飛行訓練に伴う騒音等に対する苦情が地元にあることは承知しており、地元地方公共団体の要請をも踏まえ、十二月初旬、日米合同委員会等の場を通じ、米側に対し、米軍機の飛行に際しては安全確保につき万全の措置を採るとともに、騒音等の問題に十分配慮するよう申入れを行つた。

十二の2について

 大鹿村からの要望により地元のヘリコプターの飛行計画を米側に通報し、安全に留意するよう申し入れたところ、米側も十分安全確保に配慮しつつ、飛行を行つたものと承知している。

十二の3について

 政府としては、米側に対し、米軍機の飛行が行われている地域には、今後、送電線工事に伴つてヘリコプターが飛行することがあることを伝達の上、安全確保につき万全の措置を採るよう申し入れているところである。関係地方公共団体より、同地域におけるヘリコプターの飛行についての米側への情報提供につき要望がある際は、安全確保に万全を期するとの観点から、前向きに対処していきたい。

十三及び十四について

 政府としては、最近、在日米軍の訓練に係る事件・事故が種々発生していることは遺憾なことと考えており、個々の事案に応じ、米側に対し、原因究明、再発防止等につき申入れを行つているところである。
 政府としては、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)の改正等は考えていないが、今後とも、在日米軍の運用に伴う地域住民への影響が最小限となるよう努力していきたい。