質問主意書

第113回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一六号

リクルート疑惑に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十三年十一月九日

安恒 良一   


       参議院議長 土屋 義彦 殿


   リクルート疑惑に関する質問主意書

 いわゆるリクルート疑惑に関連して、次の諸点について政府の見解を伺いたい。

一 安比レック(株)については、昭和六十一年三月決算期においては、十億五千万円内外の累積赤字を有していたが、同六十二年三月期決算においては、有価証券売買益によつて十億七千万円内外の利益を計上して当該累積赤字を解消している事実があり、また同社の正味資産の現況からみて、前記有価証券売買益を生んだ対象有価証券は、昭和六十年四月の第三者割当株式四十万株であり、これを昭和六十一年十月の店頭登録後単価五千二百二十円内外で売却したという疑いが濃厚である。このことは、政府が(株)リクルートコスモス株式の店頭登録取消しに関する行政指導をなすべき要因となるであろうから、政府において、右の実態を調査し、その結果を国会に報告すべきであると思料するが、政府の見解は如何であるか。

二 (株)晴海グランドホテルは、敷地、建物、施設の大半は(株)リクルートからの賃借によつて業務を行つており、業績において、昭和六十年三月決算期においては、収入高二十一億円あるものの利益金は僅か四千百万円にとどまり、到底同年四月に実行された(株)リクルートコスモス株式四十万株(単価二千五百円、総額十億円)を負担しうる業容にないばかりか、昭和六十三年三月民間有力調査機関の調査による推定資産は、総額二億八千万円にとどまる状況から勘案して、発行会社(株)リクルートコスモス自体もしくは(株)リクルート、あるいは江副浩正氏個人によつて名義借りされたものであり、当該数株式はこれら三者のいずれかによつて取得占有され、これが巷間政官界等に対する株ばらまきの原株の一部となつている疑いがある。よつて政府は、いわゆるリクルート疑惑の重大性に鑑み、右の実状を調査し、その結果を国会に報告すべきであると思料するが、政府の見解は如何であるか。

三 いわゆるリクルート疑惑は、日を追うにつれ、底無し沼の様相をみせ、これが世道人心に与える影響を思うとき誠に寒心の至りであることは、政府においても同様であると思料するが、先般発行された雑誌「経営塾」十月号三十四頁に財団法人「世界平和研究所」(東京都千代田区紀尾井町四の一)の財団基金徴募にあたり、(株)リクルートに三十億円を引き受けさせる旨の記事があるが、周知のとおり同研究所は前総理中曽根康弘氏が、主唱主導しているところだけに看過しえないものがある。政府は宜しくこの実状を調査し、その結果を国会に報告すべきであると思料するが、政府の見解は如何であるか。

四 前項に関連し、当該研究所は、昭和六十三年七月一日に設立登記が行われ、資産の総額は三億五千万円、出資の方法は会費となつているが、中曽根政権とリクルートグループとの関係について好ましからぬ風聞が流れている今日、当該会費拠出人のうちに江副浩正氏もしくはリクルートグループが含まれているかどうか検証する必要があると考える。
 よつて政府は、当該研究所設立登記の際添付された書類のすべて及び会費納入者のリストを速やかに国会に提出すべきであると思料するが、政府の見解は如何であるか。

五 リクルートコスモス株譲受人に、大蔵省出身の元高官が存在すると言われているが、政府は、これを承知しているか。

  右質問する。